SNSの「中傷被害撲滅」が一筋縄でいかない理由 ツイッタージャパンの笹本社長に聞いた

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――不適切なツイートに対する施策や体制は?

サービスを展開するどの国でも、24時間365日の監視体制を敷いている。人力に加え、AI(人工知能)を用いた検知も強化中だ。殺害予告や脅迫行為のような直接的な表現のツイートには、アカウント凍結などの強制対応をすぐに行っている。

ただ、発言者と受け手の関係性や前後の文脈で、誹謗中傷に当たるのか判断が分かれるケースも多い。「嫌い」とか「死ね」とか、ネガティブなワードを含むツイートであっても、建設的な批判だったり、仲のいい友人同士の戯れだったりする場合もある。

逆に、一見問題なさそうに見えるツイートが、言及された人を深く傷付けることもある。不適切性の調査や判断にかかる時間もまちまち。レスポンスタイムを早めることは重点項目の1つに置いている。

日本でも「警告機能」を早く導入したい

――具体的な解決策はありますか。

誹謗中傷被害を未然に食い止める策として、アメリカ国内では5月から試験的に、利用者が投稿ボタンを押す前に“警告”を出す機能を導入している。

個々のツイートに返信できる人を3段階(全員、フォローしている人だけ、指定している人だけ)で設定できる機能を開始(写真:ツイッタージャパン)

木村さんの件や、今アメリカで起きているブラック・ライブズ・マターを巡っても言えることだが、一時的な衝動で憎悪むき出しのツイートをしてしまったり、よく調べずに批判を書いてしまったりする人は少なくない。そういう人に「あなたの投稿で他人を傷つける可能性はないか」と語りかけ、冷静に再考してもらうのがこの機能の狙いだ。

今のところ運用はアメリカ国内に限定されており、どのような情報を基にアラートを出すかもテストを続けているところ。こういう機能を早い段階で日本でも展開できればと思う。

もちろん、日本でもさまざまな機能を追加している。昨年9月からは、自分のツイートへの返信について、ユーザー自らが選択して非表示にできるようにしている。発言の本来の意図を損ねる返信に対処するのが目的だ。さらに今年5月からは、個々のツイートに返信できる人を3段階(全員、フォローしている人だけ、指定している人だけ)で設定できる機能も設けた。これらもぜひ活用してほしい。

次ページトランプ氏の投稿に「誤情報警告ラベル」を表示した
関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事