2020年年金改革は野党炎上商法の潮目になるか コロナ下での与野党協議が示した年金の未来
おもしろいことに、民主党と彼らの年金論にお墨付きを与えていた「有識者」たちは、民主党案の財政試算を一度も行うことなく抜本改革を唱え続けていたようなのである。社会保障・税一体改革が動き始めた2011年春に、非公開の場で年金局に依頼して彼らの案の財政試算をやってもらっている。ところが、その試算結果があまりにも厳しい現実を突きつけてしまったために、民主党の要人たちは年金試算を封印するという姑息なこともやっていた。
しかしそのことが2011年5月には報道を通じてリークされ、与野党の間で二転、三転の茶番のあげくに、試算は公表され、当時の野党自民党の格好の攻撃材料となっていた。
こうして、年金破綻論、のみならず政権交代がなされれば、自党の改革案によって翌日からでも7万円の最低保障年金が配られるかのようなキャンペーンで政権を得た民主党は、政策の柱とした年金でも行き詰まる。
3党合意の一体改革で落ち着くと見られたが…
その後、民主党政権下での2012年6月の民主・自民・公明の3党合意で公的年金は「社会保険方式を基本とする」ことが合意され、翌2013年8月には、社会保障制度改革国民会議が、2004年制度改革のフレームの下で次の4つの課題を設定し、社会経済の変化に応じて将来世代のための給付、特に基礎年金のさらなる充実を図っていくという道筋が確認されていった。
●被用者保険のさらなる適用拡大
●保険料拠出期間と受給開始年齢の選択制
●高所得者の年金給付の見直し
これらが実行されるように、2013年12月には、その後の政策方針を計画するプログラム法も作られた。とはいえ、旧民主党の中で年金叩きを職業にしてきた人たちの言動はその後も選挙のたびに再燃していた。
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