2020年年金改革は野党炎上商法の潮目になるか

コロナ下での与野党協議が示した年金の未来

コロナ下の国民生活を支える公的年金では、国会論議に大きな変化が見られている(写真:bee / PIXTA)

先日、学生のレポートを読んでいると、「誰も賞賛しないが(中略)年金に至っては、年金生活者は、ほかの生活者の経済状況が危機的になっている状況に対して、安定した受給が行われている」と書かれていた。

確かに、新型コロナ禍の下でも、公的年金は滞りなく給付されている。一部の週刊誌などは、公的年金の積立金を預かるGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用に赤字が出たことを騒ぎ立てたくもなるのだろうが、積立金の年金給付への寄与率は、長期的には1割程度である(「社会保障への不勉強が生み出す『誤報』の正体」2018年7月25日参照)。

積立金の1割程度の損害が出ても、1割の1割の影響しか出ないし、そもそも過去のリーマンショックのときもそうであったように、長期的には、大きなショック時の損失のままでいることもないであろう。

コロナ禍でも黙々と機能する社会保障制度

社会保障の機能を3つ挙げるとすると、国民の生活安定・向上機能、富裕層から中・低所得者へ、そして中央から地方への所得再分配機能、さらに景気が悪いときには社会保障の支出が増え、景気が過熱してくると支出が減るなどを通じて需要を平準化させることによる経済安定機能ということになるであろう(『ちょっと気になる社会保障 V3』第10章「社会保障がはたす3つの機能」参照)。

そして公的年金保険は、今起こっている大きなショック下でも、しっかりと、これら3つの役割を果たしているようである。というよりも、公的年金などは、事前には予測できないような不測の事態――これを不確実性uncertaintyという――が起こっても給付を継続することができるように、はじめから設計されている。

公的年金保険の給付規模はGDP(国内総生産)の1割強であるわけだが、その割合は、高齢化の度合いなどに応じて地域ごとに異なる。島根県、鳥取県などは、公的年金が県民所得の20%ほどを占めており、県民消費支出では島根県は約24%にも上っている。この難局にあっても公的年金は地域経済の安定を大きく支えている。

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