トランプは対中強硬姿勢をこれから強めていく 大統領選へ向け米中貿易合意も揺らぐリスク

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中国をスケープゴートにすることで選挙戦を乗り切ろうとするトランプ大統領(写真:REUTERS/Kevin Lamarque)

今の米中関係は1972年のリチャード・ニクソン大統領による訪中以来、最悪とも言われている。米中摩擦はトランプ政権に始まったことではなく、オバマ政権時代から徐々に厳しさを増していた。現在の報道のほとんどは白人警察官による黒人暴行殺害事件とこれに対する抗議活動に関するものだ。しかし、11月のアメリカ大統領選へ向けて、米中関係の緊張は最高潮に達していく見通しだ。

11月まではトランプ政権が打ち出す政策のすべては大統領選挙戦にプラスになるか否かで決まる。コロナ危機が起きるまではトランプ大統領は好調な経済をアピールしてきた。危機の直前までは失業率は3.5%と約半世紀ぶりとなる数値を記録するまでに低下し、景気の長期拡大を背景にトランプ大統領の再選は確実視されていた。

だが、コロナ危機によって経済活動が急停止。失業率は4月以降2桁台と大恐慌以来の数値で推移している。コロナ危機に続く経済危機でトランプ大統領は経済をアピールする選挙戦略を破棄せざるをえなくなった。

コロナ危機で崩れたトランプ大統領のシナリオ

世界最大の感染者数と死者数を出すほど悪化したアメリカのコロナ危機は、初動が遅れたトランプ大統領の責任も少なからずある。ABCニュース/IPSOS世論調査(2020年6月)によると、トランプ大統領のコロナ対策を支持する有権者は39%、支持しない有権者は60%にも及んだ。

この世論調査結果からも、仮に大統領選挙が政権のコロナ対策のみを評価するものとなれば、トランプ大統領の再選は困難だとわかる。民主党はコロナ危機対応に初動で遅れた大統領の追及を強めている。そこで、大統領はコロナをめぐる失策を中国に責任転嫁することに決めた。

トランプ政権は発足以降、経済と安全保障の2つの軸で対中政策を構築し、特に経済面における貿易不均衡の是正に重点を置いてきた。2019年は報復関税応酬で一時は貿易摩擦がエスカレートしたが、年初に署名した第1段階合意で両国関係は落ち着きを取り戻した。中国が農畜産品などの対米輸入拡大にコミットしたことはトランプ政権にとって重要な成果であり、同合意の署名前後、トランプ大統領は中国批判を避けていた。

ところが、今春から経済と安全保障という軸に、3本目の軸「新型コロナ」が新たに加わり、両国関係は激変した。大統領選で外交政策が議論の中心となることはこれまで少なかった。だが、今回の選挙戦では新型コロナをきっかけに公衆衛生や雇用など社会問題が焦点となる中で、大統領が中国をスケープゴートにする論調を強めていくことは間違いない。

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