アメリカの株式市場は再び暴落する懸念がある

5月雇用統計「超サプライズ」に潜む数字の罠

警察関係者との会合で話すトランプ大統領。雇用統計の超サプライズも割り引いて考える必要がある(写真:AP/アフロ)

6月5日に米労働省が発表した5月の雇用統計は驚くべき内容となった。相場への影響が大きいとされる非農業部門雇用者数(Non-Farm Payroll)は、事前予想で800~900万人は減少するとされていたのに対し、結果はなんと250.9万人という大幅な増加。失業率も4月に14.75%だったのから19%台まで上昇すると予想されていたのが、結果はこれに反して13.26%に低下するというサプライズとなった。

同日のNY株式市場はもちろんこの結果を好感、雇用の落ち込みが当初懸念されていたほどではなく、景気の回復ペースも速まるとの期待から買いが加速、NYダウ工業平均は800ドル以上の急伸、ナスダック総合指数は史上最高値をあっさりと更新。6月9日には、ナスダックがついに一時1万ポイントの大台に乗せた。

「本当の失業率」はもっと高い?

もっとも今回の強気のサプライズは、額面通り素直に受け止めるわけにはいかない。新型コロナウイルスの感染拡大が、米労働省の調査方法にも大きな影響を及ぼしたことにより、現場の混乱が数字のブレにつながった可能性は高いと見ておいた方がよいだろう。

労働省もレポートの冒頭で自らこの問題を指摘、家計調査に関するデータの分類方法におけるミスによって、失業率が実際よりも低く出てしまったとしている。そこで今回は、雇用統計がなぜここまでの強気のサプライズとなったかを深く分析することによって、今後の景気動向を占ってみたい。

雇用統計は、基本的に2つの調査によって成り立っている。一つは「一般家庭に対する電話や訪問による聞き取りによる家計調査」(Household Survey)。もう一つは、「雇い主に対する企業調査」(Establishment Survey)である。雇う側と、雇われる側の双方に対して調査を行うことで、雇用状況をより正確に把握しようということである。

雇用統計の中でも注目度の高い数字のうち、失業率は家計調査に基づくもの、非農業部門雇用者数や時間当たり賃金は企業調査に基づくものだ。雇用統計を見るうえでの「基本中の基本」として、失業率と非農業部門雇用者数は、まったく別の調査によって算出されていることは押さえておきたい。

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