外食チェーン各社、コロナ勝敗を占う2つのカギ 復活しやすい会社とそうでない会社の分岐点

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近年、外食産業は、慢性的な人手不足に伴う人件費高騰に悩まされてきており、ブロンコビリーも例外ではない。しかし、季節ごとに内容を変えるサラダバーや魚沼産コシヒカリを提供することで、他社と差別化しながら高単価を維持。人件費率は相対的に低い。

回転ずしはレーンが武器になる

高単価のブロンコビリーとは対照的に、イタリアンファミリーレストランを展開するサイゼリヤは、税込み299円の「ミラノ風ドリア」をはじめとする低価格商品で訴求する。それゆえ、売上高に占めるFLコスト比率は、高くなりがちだ。

『会社四季報』(2020年2集春号)より

そこで、サイゼリヤは仕入れコストを抑制するべく、トマトやレタスなどの野菜を、種や肥料から自社で開発、栽培してきた。ホワイトソースもオーストラリアの自社工場で製造している。さらに国内の自社工場を活用して食材を加工し、店舗で働く従業員の調理時間を短縮し、売上高人件費率を25%に抑えている。

一方、回転ずしチェーンはやや特殊といえそうだ。くら寿司は売上高原価率が45%と突出して高い。これは、仕入れコストの高い魚介類を材料に1皿100円などの低価格で販売するためだ。生ものだから消費期限が短く、廃棄ロスが多いという事情もある。ただ、回転レーンがあるので配膳スタッフは少なく済み、人件費率は26%と低水準。くら寿司は基本的に郊外に出店するため家賃も安い。

『会社四季報』(2020年2集春号)より

このように、外食各社の損益計算書の“F”と“L”にはそれぞれ大きな特徴がある。そこに襲ったコロナ禍。こうした基本構造を理解したうえで、今後の各社の取り組みに注目したいところだ。

『会社四季報』編集部
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