桐朋女子中・高等学校の吉川陽大さんは保健体育の教員だ。休校期間中に「自分の適正な運動強度を知る」という課題を出した。家の中や近所でできる範囲の運動を自分で考え、平常時の心拍数を基にして「平常時の心拍数+10の運動」「平常時の心拍数+20の運動」「平常時の心拍数+30の運動」を自分で考え、自分を実験台にして実施、観察するというもの。
「学校が再開し、体育の授業ができるようになった後も、当分3密を避けた運動しかできないので、この実験をさらに発展させ、生徒各自のレポートに組み込む予定です。学校体育がいかに、健康に関連したものになっているかにつなげていきたいと考えています。また、将来的に第2波が来てしまった場合、保健体育科を中心に集まったレポート結果を基に、『桐朋女子がおすすめする運動』を発信していこうと考えています」(吉川さん)
遠隔授業ならではの教科書にとらわれない学びの機会
広尾学園中学校高等学校では「バーチャル実験」を行った。通常授業であれば、教員が準備した同じ器具を使って同じ方法によってみんなで同じ実験をするが、「バーチャル実験」は、生徒たちが考えた実験を生徒たち自身が自宅で行い、それを撮影して授業で発表するというもの。ある生徒は、バナナでピアノを作ってしまった(下記画像)。
広尾学園では一部部活もオンラインで行っている。ブラスバンド部は、各自が自宅で自分のパートを演奏し、それを編集して新入生歓迎の演奏にまとめた。実際の動画は広尾学園のホームページにアップされている。制約があればこそ、いままでやろうともしなかったことに挑戦したくなる。子どもたちの自由な発想があれば、意外にいろいろなことができてしまうのである。
聖学院中学校・高等学校では、以下のような「問い」が出された。
・リレーのバトンパスを効率的に渡すためには?(高校物理)
・味噌汁のお椀は何故動くか?(高校物理)
・美しい山とはどんな形か?(高校国語)
・誰からも愛される聖学院のロゴをデザインするには?(中学数学)
湘南学園中学校高等学校では、午後の遠隔授業として、以下のような選択授業が実施された。
・世界の料理を作ってみよう!
・大学生とディスカッション してみよう・聞いてみよう
・湘南学園|認定G Suite名人になりませんか?
・持続可能なローカル……をめぐるちいさな旅
教科書の範囲を少しでも早く進めて「後れ」を取り戻したいと思うのなら、このような取り組みは余計なものとなる。しかしこんなときだからこそ、教科書の内容にとらわれない「問い」を生徒たちに投げかけるわけである。
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