2月末の唐突な全国一斉休校要請以来、最後まで緊急事態宣言が解除されなかった首都圏や北海道をはじめとする全国で、最長約3カ月間にわたって子どもたちが学校に通えないという状況が続いた。あまりにも突然だったため、教育現場は休校に対して最低限の準備もできないまま、手探りでの対応が始まった。
4月10日、文部科学省は、学校が指示をして家庭学習で進めた範囲は学校で再び教えなくていいとの考えを示した。要するに、ちゃんと「宿題」をやらせれば、その範囲に関しては履修したと見なすという宣言だ。いわば「学校の通信教育化」である。
宿題としては多すぎる休校中の課題
1日6コマの授業の代わりとしては物足りないが、1人でこなす宿題としては多すぎる分量が出されることが予測できた。加えて、在宅勤務中の保護者が「勉強しなさい!」と頭ごなしに怒鳴れば、子どもたちが勉強嫌いになるのは時間の問題だった。
案の定。5月15日の「AERA dot.」には「『課題』は家庭に丸投げ!? ママたちを追い詰める休校時の“プリント地獄”」、5月31日の熊本日日新聞には「休校中の宿題、多すぎる? 『学力に差が出る…』増量求める保護者も」という記事が掲載された。
しかしそんな中でも、子どもたちができるだけ楽しみながら前向きに取り組める課題の出し方を工夫している先生たちがいた。そこでSNSで直接つながっている知り合いの教育関係者や保護者に限定して、「休校期間中のユニークな課題を教えてください」と呼びかけた(いま学校は混乱の極みである。そこに公式な取材をすることは自粛している)。以下に一例を紹介する。
まずは小学生編。
桐朋学園小学校教師の有馬佑介さんは本年度1年生の担任だ。入学式もできない。クラスにどんな友達がいるのかもわからない。そんななかでピカピカの1年生を迎えなければならなかった。文字も書けない、計算の仕方も知らない前提で、課題を考えなければいけない。かといっていきなりドリル学習を家庭に押しつけるのも嫌だ。
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