「氷河期再来」と語る人は就活の構造を知らない

コロナショックの採用減はあるが根本が違う

ひとくくりにできる話ではない(写真:Fast&Slow/PIXTA)

コロナショックを受けて、「就職氷河期」の再来を懸念する声がある。

新型コロナウイルスの感染拡大によって国内外で経済活動が制限され、景気の先行きに不透明感が漂う中で、日本の企業も採用抑制の動きを見せ始めている。「2000年前後と同じような深刻な就職難に陥るかもしれない」という声が、ブログの記事やSNSの投稿などで見られる。

来春(2021年春)卒業予定の学生を対象にした就職戦線が厳しくなってきているのは事実だ。報道各社からも民間企業の採用動向が伝えられている。

「新卒抑制26%に拡大 21年度、コロナ不況警戒」

5月17日(日)に共同通信から各紙に配信された記事は、2021年春入社の新卒採用市場の悪化を示唆した。

採用を減らす企業は確かに増えそうだが

これは共同通信社が主要111社を対象としたアンケート(4月初旬から5月上旬にかけて集計)が基になっている。

2021年度の採用数を2020年度実績(見込み)よりも「減らす」と回答した企業は26%にあたる29社で、昨春時点の16%から10ポイント拡大。逆に「増やす」と答えた企業は9%(10社)で、昨春調査の21%から半減した。「未定」は25%(28社)で経営環境が厳しくなれば、これらの企業も採用抑制に動くかもしれない。

このほか、朝日新聞をはじめ全国各紙がリクルート就職みらい研究所による5月1日時点における就職内定率調査について伝えたニュースも目についた。5月14日(木)付の朝日新聞朝刊は「大学生の内定率45.7% 5月1日時点 5年ぶり前年割れ」との見出し。採用がかなり厳しくなっているのかという印象を受けた読者も多かったはずだ。

これらのニュースを材料にして、就職氷河期の再来が取りざたされるのだろう。実際、コロナショックのダメージが大きい業界においては、採用活動を中断・縮小する動きは確かにあり、説明会の中止・延期、対面の代わりにオンライン面接を導入するなど採用活動にも混乱が見られる。

2020年卒に対して2021年卒の求人は間違いなく減るだろうし、2022年卒はそれよりもっと厳しくなるかもしれない。経営環境の悪化に加えてこれまでどおりの採用活動がやりにくくなることで学生の動きが悪くなって、採用計画数が未達でも採用活動を打ち切りにする企業が現れる可能性もある。

ただ、少なくともここ1~2年のうちに「就職氷河期の再来」というほどの深刻な状況に陥ると見るのは早計だ。

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