長期にわたるマスクの品薄、アベノマスク問題と、マスク問題が続いた日本。最近こそ、各企業によるフル稼働での生産や、転売禁止などの規制により状況は落ち着き始めたが、今度は真夏のマスク着用による熱中症懸念と、形を変えて問題は続く。
一方、アメリカにおけるマスク問題は、少し事情が異なっている。11月に行われる大統領選挙が絡んでいるため、トランプ大統領 vs バイデン前副大統領の「マスク代理戦争」の様相を呈してきたのだ。
アメリカの新型コロナウイルスの感染者数は世界で一番多く、約180万人(6月4日現在)。これまでに10万人を超える死者が出ており、終息にはまだまだ程遠い状態だ。そんな中、報道で目にするトランプ大統領は、一切マスクをしていない。
トランプ大統領が意地でもマスクをしない理由
アメリカ在住の医療関係者はこう指摘する。
「トランプ大統領がマスクをしないのは、マスク=新型コロナといったイメージがあり、コロナが蔓延していて大変だというイメージを国民に与えてしまうためだと言われています。
アメリカでの死者が10万人を超えたときも、ツイッターで哀悼を示したのは翌日で、できる限り新型コロナの影響力が拡大しているという印象を世間に与えたくない、という様子が感じられます。そんなウイルスに動じることなく、速やかな経済活動の再開、強いアメリカを印象づけるためにマスクをしないといわれています」
そんなトランプ大統領だが、たった一度だけマスクをつけたことがある。自動車会社のフォードが、ミシガン州の工場で人工呼吸器を作っていて、その工場の視察に訪れた時だ。フォードの社長から、州の決まりだからマスクをしてくれと依頼されたため、仕方なくマスクをつけた。しかし、その後の記者会見ではすぐに外している。ミシガン州の州知事が、対立する民主党だったことも理由の一つだろう。
実際のところ、アメリカ国民のマスクに対する意識はどうなのだろうか。
「元々、アメリカ人はマスクをする習慣はありません。新型コロナの流行の初期段階では、NYの街中などでもマスクをしている人はあまり見かけませんでした。さすがにロックアウト後はほとんどの人がマスクをするようになりましたね。
日本とは違って、街中にはマスクはほとんど売っていなかったので、手ぬぐいにゴムを結んで代用したり、毒ガス用のようなマスクなどをしている人が多かったです。さすがに最近ではスーパーマーケットで見られるようになりましたが」(同上)
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