「氷河期再来」と語る人は就活の構造を知らない

コロナショックの採用減はあるが根本が違う

日本において(賛否はあるが)、新卒学生の採用は単なる労働力確保だけの意味ではなく、企業の文化や社風を継がせていくためにも有効であると認識したのだと解釈できる。リーマンショック後にも、最近でも見られる現象は中高年のリストラは断行するものの、新卒採用や中途採用はともに強化するという流れだ。ここには会社のビジネスモデルも、働く人も入れ替えていくという意図がある。

より具体的に、数字をもとに平成〜令和の就活を追ってみよう。大学生がどれだけ増えたか、求人にどのような波があったかを分析することにする。

リクルートワークス研究所の「大卒求人倍率調査」をもとに振り返ってみよう。これは簡単に説明すると、その年度の新卒採用活動が本格化する前に、学生と企業に対してアンケートを実施するもので、その年度の予測値である。業種や企業規模別の倍率の予測まで行われている。

予測値であるがゆえに、最終的な就職先の実績ではない。とはいえ、30年以上にわたり実施されている調査であり、新卒採用市場を捉えるうえで参考になる資料である。

リクルートワークス研究所の「大卒求人倍率調査」を1987年卒から2020年卒(なお、本来であればこの時期に2021年卒版が発表されているはずだったが、コロナショックにより、調査をやり直すことになった)のデータを追ってみよう。

(外部配信先ではグラフを全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

まずは求人倍率の推移だ。これは、求人総数を民間企業就職希望者数で割ることによって算出される。ともに、前述したとおり、新卒採用が本格化する前に行ったものであることに留意したい。そして、あくまでその代の民間企業就職希望者数により計算したものであり、学生数ではない。

求人倍率が1.0倍を唯一切ったのが2000年

この推移を確認すると、わかりやすく1990年代に入ってから求人倍率が低迷したことがよくわかる。一方、「就職氷河期」と一言でくくられるが、その中でも1990年代後半には回復基調となったこともわかる。2000年卒では、初めて(そして唯一)1.0倍を切っている。その後、2000年代半ばには回復し、2年連続で2.0倍を超える年が続いたが、リーマンショック後にまた低迷している。2015年ごろから売り手市場化している。

売り手市場といえるか否かの基準は1.6倍が目安だとされている。その基準でみると、この34年でこの値を超えたのは1987〜1993年卒、1998年卒、2006〜2010年卒、2015〜2020年卒の、合わせて19年となる。ただ、平成に入ってからに区切ってみると、その回数は半分以下となる。

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