ユニクロ、ジーユーがコロナ禍でも挑む変革 原宿にオープンする旗艦店で新たな一手

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だが、決算会見に出席した柳井正会長兼社長は「経営環境の激変に対応するための資金は以前から準備してきた。ゼロベースから会社のすべてを作り替える覚悟をしている」と、先行きへの不安を吹き飛ばすかのように力強く語った。

そして、「店に来る価値があるかどうかが、今後は問われるようになる。EC(ネット通販)だけで済むような服や業態だけでは、店は生き残れない」。柳井会長は会見で、今後の店舗の存在価値についてこう断言した。

緊急事態宣言の発令で多くの実店舗が休業する中、ECで衣料品を買う消費者は増えた。ECに対する心理的ハードルが下がり、利便性の高さに慣れた消費者の利用拡大が一段と見込まれる一方、実店舗の需要は相対的に減少していく可能性が高い。

現在、国内ユニクロの売上高に占めるEC比率は約11%。売り上げの大半を稼ぐ実店舗を、消費環境の劇的な変化にどう対応させるかは、ファストリにとって大きな課題となる。

店舗変革のカギを握る原宿店

ユニクロは中国や東南アジアに積極的な海外出店を続ける一方、国内は2010年代半ばから店舗数の拡大ペースを抑制し、既存店の大型化や好立地への移転を進めてきた。国内店舗数は2013年の853店をピークに現在は約810店舗に減った。だが、大型店が増えたこととECの拡大も加わり、国内ユニクロの2019年度売上高は2013年度比で約27%増の8729億円に達した。

ユニクロの旗艦店となる原宿店。6月5日にベールを脱ぐ。写真は5月中旬(記者撮影)

売り上げは伸びている一方で、さえないのが利益水準だ。ここ10年ほどの間、国内ユニクロの営業利益は1000億円前後を推移、営業利益率は2013年度の14.2%から2019年度は11.7%に低下している。販売スタッフを含む人件費や物流費の負担増加が重荷となったようだ。

ファストリはEC比率を中期的に30%へ引き上げる方針を掲げるが、実店舗1店1店の収益力を一段と高めることが、今後の成長には避けて通れない。店舗の変革に向けて、ファストリは新型コロナの前から準備を進めてきた。その試金石となるのが、6月5日にオープンする予定の「ユニクロ 原宿店」だ。

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