繰り返し不況にさらされる「コロナ世代」の悲哀

就職や収入だけでなく、寿命、人生観にも影響

大学を卒業しても最悪なタイミングでキャリアをスタートさせることになる(写真:William Widmer/The New York Times)

マシュー・ヘンダーソンさんの就職活動は最悪のタイミングと重なった。ロヨラ大学4年生で、春学期をシカゴにあるイギリス領事館で貿易政策アナリストのインターンとして過ごした。しかしコロナ禍のせいで、卒業後に正規採用される望みはなくなった。

ヘンダーソンさんは今、無職だ。インディアナ州サウスベンドの実家で暮らし、2万4000ドルの学生ローン返済のためにコストコやターゲットで働くことを考えている。「不安でいっぱいだ」と、21歳になったばかりのヘンダーソンさんは言う。「ローンは返済しなくちゃいけない。けど返済する金がない」。

不況になると若者が割を食う

積み上がった学生ローンに、コロナで壊滅状態となった労働市場。ヘンダーソンさん、そして彼と同世代の何百万人という若者がケタ外れに不確実な未来に直面している。

不況になるととくに厳しい立場に追いやられるのが若者だ。仕事に就いたばかりの若者は職務経験に乏しく、職場での序列が低いため、真っ先にレイオフ(一時解雇)の対象となりやすい。多くの調査が示すように(前回の不況期に成人した人たちの経験からしてもそうだが)キャリアをスタートさせるタイミングが経済危機と重なった若者は延々と割を食い続けることになる。賃金や職場でのチャンス、自信は完全には回復しないかもしれない。

そして何世代ぶりかという今回の底の見えない大不況の中で、若者が割を食うという上記のパターンは一段と激しさを増している。例えば3〜4月に20~24歳の雇用は25%、20~29歳では16%減ったが、これに対し50代の減少率は12%にとどまった。

法と国家安全保障に関するブログ「ローフェア」の記事で歴史学者のデビッド・ケネディ氏と退役陸軍中将のカール・アイケンベリー氏は、現在の危機を年長者が若者を戦場に送り込んで死なせた戦時中になぞらえた。「学生ローンを抱えた学生、住宅ローンに苦しむ人々、家族を養うため毎月の支払いに追われている親、立場の不利な新卒者、不安を抱えた初めての求職者──人生に最も深く傷を負うのは若者である」というわけだ。

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