繰り返し不況にさらされる「コロナ世代」の悲哀 就職や収入だけでなく、寿命、人生観にも影響

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その結果わかったのは、中年期の収入が低かったということだけではない。結婚したり、子どもを持ったりする割合も低く、早死にする傾向も強かった。こうした人々では30代以降に心臓病、肺がん、肝不全、薬物の過剰摂取などで死亡する確率が高くなることが確認されている。プリンストン大学のアン・ケース名誉教授とアンガス・ディートン名誉教授はこれを「絶望死」と呼んだ。

大学を出ていなければ、状況はもっとひどくなる公算が大きい。「不況は全体的に格差を拡大させる」とカーン教授は言う。「マイノリティ、若者、低学歴者など、より不利な立場にある人々が、最も大きな被害を被ることになる」

「自助努力」なんかじゃどうにもならない

コロナによる休業は若者を直撃したが、高齢者はコロナで死亡するリスクが高い。こうした状況は、世代間の分断を広げるおそれもある。

世代間の利害対立は、早ければ夏にも政策に影響を及ぼす可能性がある。ペンシルベニア大学のダーク・クルーガー教授が同僚3名と4月に発表した研究論文によれば、定年を過ぎた人々は「不要不急の事業」の休業範囲を拡大し、休業期間を延長すべきだと考える傾向が強い。このような措置で最も不利益を被るのは、休業対象とされた業種で働く若者である。クルーガー教授は「高齢者と若者の利害対立は深刻だ」と指摘する。

このように世代間で偏るコロナショックの余波は、長期にわたって社会に影響を及ぼし続ける公算が大きい。

ミズーリ大学を卒業したばかりのジョーダン・マイアーさんは2月から記者を目指して就職活動を続けてきた。しかし強力な履歴書にもかかわらず、月給250ドルの夏期インターンシップしか見つけることができなかった。車のローンを支払うのがやっとの金額で、その後フルタイムで働ける見込みもない。

「何年も努力して、大学でも学んで、いよいよ就職活動というところだったのに。それなのに(コロナのせいで)今は就活もできない。とても悔しい」とマイヤーさんは言う。

経済環境が激変したことで、若者の世界観や正義観、政府の役割に関する考え方が変わったとしても不思議ではない。

2009年に大学を卒業し、現在オフィスマネージャーをしている前出のハガードさんは学生時代、共和党を支持していた。2008年の大統領選挙では共和党のジョン・マケイン上院議員(当時)に票を入れた。しかし不況で彼女の世界観は一変した。今の彼女は昔より、ずっとリベラルだ。今年ワシントン州で開かれた民主党予備選挙では、「民主社会主義」を標榜するバーニー・サンダーズ候補に投票したというのだから。

ハガードさんは言う。「共和党は『自助努力』を強調する。だけど、自助努力で何とかなるような世界に私たちは住んでいるわけじゃない。少なくともアメリカでは(自助努力だけでは)どうにもならない」。

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