黒川氏の賭け麻雀辞任「訓告」処分だけの大疑問 霞が関エリートの不祥事も後を絶たない…

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そこで、黒川氏がやっていたとされるテンピン(1000点100円)のレートで、1回あたり数千円から2万円程度のやり取りがあったという賭けマージャンが、検挙、起訴すべきものかどうかという点が問題になってくる。

過去に賭けマージャンで捕まった有名人というと、蛭子能収さん、東尾修さんの名前があがるが、蛭子さんは現行犯逮捕、東尾さんは書類送検の処分を受けている。おそらく、蛭子さん、東尾さんの場合には、レートが黒川氏の場合より高く、特に東尾さんの場合には暴力団関係者との同卓があったという事情があるが、黒川氏の罪が彼らに比べて特に軽いというものではない。

むしろ、黒川氏の立場からすれば、より起訴を受ける可能性が高い状況にあったのではないだろうか。

黒川氏は東京高検検事長という、刑法犯を取り締まる責任者の立場にある。そして、日本では、検事だけが、起訴便宜主義といって、刑法犯を訴追するか否かを決定する権限を有している。

その条文が刑事訴訟法248条だが、それは「犯人の性格、年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の情況により訴追を必要としないときは、公訴を提起しないことができる。」と言う。

こうした強大な権限を持つ検察庁のナンバー2にある黒川氏の境遇を考慮すれば、そもそも賭けマージャンをやること自体が大問題であり、それを常習的にやっていたとなれば、それを軽微な罪だからお目こぼしでいいだろうというのはおかしいだろう。

黒川氏の訓告処分は適切か

以上を踏まえると、黒川氏への訓告処分は不適当であると思われる。政権が、こんなに早く処分をしたのは、訓告処分→辞任を一日で終わらせ、政権への打撃をできる限り避けようとしたものだろう。

国家公務員に対する一般的な処分としては、懲戒処分として免職、停職、減給、戒告、矯正措置として訓告、厳重注意がある。人事院は、「懲戒処分の指針」を出し、そこでは、「賭博をした職員は、減給または戒告とする。」、「常習として賭博をした職員は、停職とする。」としている。これにあてはめれば、黒川氏は少なくとも減給または戒告、常習と認定されるなら、停職処分を受けるべきであったことになる。

その上、黒川氏が検察庁のナンバー2という要職にあったことを考えれば、より重い懲戒処分が科されてもおかしくない状況であった。

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