黒川氏の賭け麻雀辞任「訓告」処分だけの大疑問 霞が関エリートの不祥事も後を絶たない…
東京高検の黒川弘務検事長が、緊急事態宣言下かつ検察庁法改正案の審議中に賭けマージャンをしていたにもかかわらず、「訓告」処分にとどまったことが多くの批判を呼んでいる。
黒川氏にとって、人生で最も気をつけなければならないこの時期に、この非行であった。いつもは犯罪者を起訴している検察庁の親玉が、みずから犯罪者の側にも立っていたというのだから洒落にもならない。
そのうえ、賭けマージャンのメンツは産経新聞2人、朝日新聞1人の記者・社員であった。検察と新聞は「こんなに近い関係なのか」「カルロス・ゴーン事件の時に話題になった検察から新聞へのリークはこうやって行われたのではないか」と考えた人もいるだろう。
処分については、国家公務員法に基づく「懲戒」ではなく、訓告という仲間内での甘い処分に白けさせられた。5月25日の国会でも黒川氏の処分について政府は追及されているが、のらりくらりとかわす姿勢を続け、再調査は考えていないとしている。
黒川氏の賭けマージャンは刑法犯にはならないのか?
刑法185条は、「賭博をした者は、五十万円以下の罰金又は過料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りでない。」と規定する。
賭けマージャンは、金銭をマージャンの勝敗結果という偶然の結果に賭けるものであり、言うまでもなく賭博である。そして、「金銭はその性質上一時の娯楽に供する物ではない」という判例があるので、但書の例外にはあたらない。つまり、1円でも賭ければ、賭博罪は成立する。
次の刑法186条1項には、「常習として賭博をした者は、三年以下の懲役に処する。」とある。賭博常習者とは、賭博を反復累行する習癖のある者を言うとされ、報道通り、黒川氏が3年間にわたり、同じメンツで月に2、3回賭けマージャンをやっていたというのであれば、常習賭博罪にも該当する。
確かに、警察や検察はすべての賭けマージャンを検挙しているわけではない。射幸性の低いものはお目こぼしとなっている。
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