既婚男性の「男らしさ規範」がもたらす光と影 夫・妻が借金したら、一緒に頑張るか別れるか

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家族のためには自分の身を犠牲にしてでも守ろうとする。冒頭のトロッコ問題に当てはめれば、家族5人と自分1人なら、迷わず自分1人の命を捧げるということです。そこから決して逃げたりしません。なぜなら、逃げたら、自己の存在理由の否定になるからです。それが多くの日本の夫たちの美学なのかもしれませんが、そんな美学に縛られている男ほど、その末路は悲しいものになる可能性があります。

一方、女性は違います。まず、女性が結婚するメリットとして挙げているもののうち、男性と大きな乖離があるのが「結婚とは経済的メリットである」という意識です(「独身男が『結婚コスパ悪い説』を信奉する理由」の記事参照)。

女性が離婚する理由も明確です。妻からの離婚を切り出す場合の原因は、「性格の不一致」を除けば、「金銭的理由」がその4割を占めます(「『夫婦の絆』も破壊するコロナ禍の恐ろしい作用」の記事参照)。夫側の離婚理由の「金銭的理由」がわずか16%であることからその差は歴然です。つまり、女性にしてみれば、結婚する理由もお金ならば離婚する理由もお金なのです。

離婚によって自殺する割合は女性に比べて高い

さらに言えば、金銭的理由で離婚をしない夫たちですが、皮肉にも、離婚によって自殺する割合は女性と比べて非常に高いわけです(「『離婚した男性』の自殺はなぜこんなに多いのか」の記事参照)。と、同時に、男たちの自殺の多くは経済問題によって引き起こされてもいます。

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