給付金で大混乱「市役所窓口」のヤバすぎる内情 現場で起こる"3つの問題"に職員は怒り心頭

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「役所でマイナンバーカードは作れないことや、平時でも申請から1カ月かかることなどを正直に説明した結果、相手が逆上するケースもある」(冒頭の自治体職員)

マイナポータルのシステム障害は、申請の障害になっているだけでなく、役所の職員の業務遂行上も多大な障害になっている。

自分のPCやスマートフォンから申請する利用者は、いわゆる利用者クライアントソフトを使い、インターネット回線でマイナポータルにアクセスする。申請が殺到した結果、このインターネット回線でのシステム障害が多発していることは言うまでもないのだが、役所とマイナポータルを結んでいる専用回線のほうもシステム障害が多発しているのだ。

その原因は想像にたがわず、パスワードを忘れた人による、パスワード再設定依頼の殺到である。専用回線が混雑すると、その専用回線で送られてくる申請情報の出力もスムーズに行かない。「1枚の申請書を出力するのに、2時間かかった例もある」(前出の東京都特別区職員)という。

システム障害頻発の根本理由

この話には少々解説が必要だ。マイナポータルは単純に申請を受け付けるだけで、申請者が入力した情報は何のチェックもかからず、そのまま自治体に転送される。

このため、マイナポータルでの申請は、システム障害さえ起きなければ同一人物が何度やっても受け付けられる。世帯主以外は本来申請する資格がないのに、申請者が世帯主かどうかの判定すらしない。否、判定できないのだ。

自治体ではマイナポータルから転送されてくる情報を紙に出力し、職員が住民基本台帳システムなどを使い、手作業で記載内容に間違いがないかや、必要書類が整っているかなどをチェックする。修正や必要書類の提出依頼は、職員が申請者に電話をかけて行っている。その手間暇は尋常ではない。

実は、冒頭の地方自治体職員が最も怒っているのも、この点なのだ。マイナポータルが申請を受け付けた情報を、住民基本台帳システムと連携させることができれば、確認作業の負担は大幅に軽減されるはずなのに、それができないのである。

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