というのも、そのシステム開発は自治体がやらねばならず、国はやってくれない。というよりも、できないのだ。地方自治体がそれぞれ独自に住民票や印鑑証明のシステムを開発しているため、自治体ごとにフォーマットが異なるからである。
したがって、国が特別給付金申請用のチェックシステムを開発し、全国の自治体に配るということができない。一方、自治体にシステム開発をしている余裕は、時間的にもマンパワー的にもない。
つまり、間違った申請があっても、不正な申請があっても、チェックするのは自治体であり、チェック漏れが発生し、二重払いなどが発生しても、その責任を問われるのは自治体なのだ。
こじれた糸はどうすればほどける?
日本は良い意味で、国家による国民の管理が緩やかな国だ。アメリカは源泉徴収制度があるとはいえ、一定以上の所得がある国民は全員、確定申告を義務付けられているので、口座情報も完全に管理されている。今回のようにお金を配るためのインフラは整っている。
だが、源泉徴収されている収入以外に収入がなければ確定申告の必要がない日本では、アメリカのように個々人の銀行口座まで管理できていない。だからこそ、インフラが整っている国のまねを安易に決めたことに、冒頭の自治体職員は怒り心頭に発しているのだ。
もっとも、これを口実に国民の管理を強化されてはたまらない。何しろ、政府はこの未曽有の危機の最中に、政権にとって都合のよい人物の定年延長を正当化するかのような法改正を進めようとしている。いったん管理を強化されたら、今後それがどう使われるのか、わかったものではない。
最善の解決策は、オンライン申請なら早くもらえるという誤解を解くこと。そして、オンライン申請の推奨をやめ、郵送されてくるのを待つよう、徹底的に啓蒙することだろう。
自治体レベルでは郵送の推奨を行っているが、そもそも給付金は国の事業なのだから、国自身がやるのが筋ではないか。せめて、テレビで盛んに流されている特別給付金支給の告知で、この2点を強調するくらいのことをしても罰は当たらないはずだ。
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