新型コロナウイルスが世界に多大な影響を与える中、さまざまな政府系ハッカー集団が他国のワクチン開発や政策に関する情報を盗もうと活動を活発化させている(参考:「中露北がサイバー攻撃で狙う『コロナ対応』情報」)。
4月22日、アメリカのグーグルは、新型コロナウイルス絡みのサイバー攻撃を仕掛けている政府系ハッカー集団を12以上見つけたと発表した。どの国の政府かについては明らかにしなかったが、被害国には、日本、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、中国、ドイツ、フランス、ロシアなどが含まれている。
サイバー攻撃の77%が中小企業を狙っている
5月5日にアメリカ政府とイギリス政府が共同で出したサイバーセキュリティ報告書にも、政府系ハッカー集団による新型コロナウイルスに乗じたサイバー攻撃への懸念が述べられていた。医療機関、製薬会社、学術機関、医療研究機関、政府機関にサイバー攻撃を仕掛け、新型コロナウイルス関連の医療政策や情報を盗もうとしているという。
サイバーセキュリティ上のネックとして両政府が挙げているのは、世界中に広がるサプライチェーンとテレワークへの切り替えだ。急遽テレワークに移行した組織が多く、社員のテレワーク用IT環境に十分サイバーセキュリティ対策が施されている訳ではない。
また、海外の子会社や下請け企業は、本社と個人情報や設計・技術情報などを共有している一方、規模が小さく、サイバーセキュリティのための予算がそれほど取れないことが多い。そのため、強固なサイバーセキュリティ対策を取っている大企業より、サイバー攻撃で狙われやすい。アメリカのサイバーセキュリティ企業のファイア・アイの調査では、サイバー攻撃の実に77%が中小企業を狙っている。
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