ホストクラブに置き換えて考えてみる
男の場合ですが、あなたがホストクラブのホストだとしましょう。もしあなたが、職場で自由でありたい、自分の思うままとは言わないまでも、他人から不当な干渉をされたくもなく、うさんくさいお説教をされたくないし、もちろん軽蔑もされたくない。そして、自分の信念や感受性に忠実に思うままに働きたいとしましょう。具体的に言えば、店長にペコペコしたくなく、「嘘八百の建前」を語りたくなく、「ズバッと言い続けて」いたい。
その場合、これを実現する道は一つだけあります。つまり、あなたが「ナンバーワンのホスト」であって、かつ人間的にも魅力があればいいのです。会社はあなたを手放さないでしょうし、あなたの自由をかなりの程度認めてくれるでしょう。そして、あなたが、それでいて人間的に魅力があれば、周囲のホストたちもあなたから技術を学ぶという利益が得られますし、誰もあなたに悪口を言わなくなるのではないでしょうか?
それに対して、あなたが売り上げ最低のホストだったら、あなたは限りなく不自由であり、あなたの望みはほぼまったく閉ざされていて、いかにあなたが不平を言っても誰も聞いてくれない。あなたは、会社や周囲の人々の思惑に従うほかないでしょう。
なかなか世間は厳しいものです。といって、誰もがナンバーワンのホストになれるわけでもない。では、どうしたらいいのか?
私が、自分が「普通でない」と自覚している人々、それゆえいろんな形で(広い意味の)社会から排斥されている人々に対して強調したいことは、いつの日か周囲の人びとが「目を覚まして」あなたの「正しさ」をわかってくれるだろうと期待しても無駄だということです。自分を変えることなく、じっと他人の「好意」に期待しても、何も天から降ってくることはない。
そこで、社会から排斥されかつナンバーワンのホストにもなれない人の今後の生き方ですが、大きく分けて二つあるように思います。
一つは、他人にあえて理解されようとせずに、ひとりで生きられる職業を見いだして、「あきらめて」生きること。そして、二つ目は、血の出るような努力をして自分を変えること。どう見ても、前者の方がラクだし、人間味もある。というわけで、私は前者を選んだのですが、不思議なことに、そうしているうちに、狭い範囲ですが、私のそういう生き方を理解してくれる人が少なからず現われてきたのです。・・・・というわけで、いつものように、また私の話になってしまいましたので、このあたりで終わりにします。今回の参考文献は『人間嫌いのルール』PHP新書と『働くことがイヤな人のための本』(新潮文庫、日経文庫)です。
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