ソニー、絶好調業績にさす新型コロナの暗い影 半導体など影響不可避か、注目の5月13日決算

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コロナショックは、ソニーが近年注力してきたコンテンツ関連事業にも影を落としている。音楽と映画の売上高合計で全社売上高の20%を占める。新型コロナウイルスにより映画館を営業できず、ライブなどの音楽イベントも開催できない。それ以上に尾を引きそうなのが制作面への影響だ。

5月に公開予定だった映画『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』はアメリカでの公開が延期され、日本での公開日も未定となっている。

映画制作の中心はアメリカのカリフォルニア州。同州では3月19日から外出禁止令が出ており、今後の映画制作に遅れが出る可能性もある。移動制限は世界中で起きており、音楽やゲームの制作でも同様の影響が懸念される。

経営方針説明会で何を打ち出すのか

一方、巣ごもり消費の拡大で音楽のストリーミング再生やゲームの需要は増加傾向にある。ソニーの強みはこうした事業の多様性だが、いずれの分野でも減速の材料があり、決して無傷ではいられない。

ソニーは5月13日の決算発表に続き、同19日に年に1度の経営方針説明会を開く予定だ。2019年はエンタメ事業の説明に多くの時間を割き、実際にコンテンツ系企業に相次いで買収・出資している。2020年4月には中国の動画配信サービス「bilibili(ビリビリ)」に出資した。

2020年の年末にはPS4の後継機となる新型家庭用ゲーム機「PS5」を発売する予定だ。従来よりもデータ処理速度が格段に向上するとされており、マイクロソフトとの協業を検討するクラウドゲームを含めて、経営方針説明会でエンタメ事業に関してどのような戦略を打ち出すのかが注目される。

もう1つの注目が、成長分野であるモビリティや医療機器分野だ。2020年1月にアメリカ・ラスベガスで開かれた世界最大級のデジタル技術の見本市「CES2020」で、ソニーはコンセプトカー「VISION-S(ビジョンエス)」を発表。吉田憲一郎社長は「これまでの10年のメガトレンドはモバイルだった。これからの10年は間違いなくモビリティだ」と話した。

スマホカメラにおけるCMOSイメージセンサーの成功体験をモビリティ分野で再現したいという思惑がにじむ。モビリティ分野で後発のソニーだが、自動運転が広がれば、車内がエンタメ空間に変わり、ソニーが強みを持つコンテンツなどを生かせる可能性もある。

コロナ後には人々の生活や価値観が変わるのは必至だ。そこでソニーが多様な事業をどう生かしていくか。未来に向けた新たなソニー像を示すことも求められている。

高橋 玲央 東洋経済 記者

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たかはし れお / Reo Takahashi

名古屋市出身、新聞社勤務を経て2018年10月に東洋経済新報社入社。証券など金融業界を担当。半導体、電子部品、重工業などにも興味。

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