ソニー、絶好調業績にさす新型コロナの暗い影 半導体など影響不可避か、注目の5月13日決算

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だが、問題は需要だ。スマホメーカーの業績を見ると、アップルは2020年1~3月期の「アイフォーン」の売上高が前年同期比で7%減少。ソニーと同様、スマホ向けの半導体を多く販売しているアメリカのクアルコムは、スマホ端末の需要が2020年1~3月に前年比で21%落ち込んだと発表した。ソニーも同様の影響は避けられない。

新型コロナの影響は半導体だけにとどまらない。ソニーはテレビやゲーム機などのエレクトロニクス製品ばかりでなく、映画や音楽といったコンテンツまで幅広く事業を手掛けている。

家電製品の需要落ち込みは深刻に

2019年3月期に全社営業利益の35%を稼ぎ出し、稼ぎ頭になっているのがゲーム部門だ。ソニーは主力の家庭用ゲーム機「プレイステーション(PS)4」を中国の工場で生産しており、2020年1月末からの春節休暇後も中国政府の指導を受けて操業を停止。

2月10日から順次稼働を再開し始め、3月末までに稼働は正常レベルに戻っている。PS4は中国以外でも生産しており、一部の部品で不足があったものの、品薄になっている任天堂のゲーム機「スイッチ」のように大規模な供給障害は起きていない。

PS4はゲームソフトのダウンロード販売やネット対戦、クラウドゲームといったオンライン販売の比率が高いことも見逃せない。2019年3月期のゲーム部門は6割超をオンライン経由で売り上げた。一部回線遅延などはあったが、こちらも影響はない。

ただ、2020年3月期への影響が限られたとしても、今後の業績に影響を与える要因は山積している。懸念材料の1つがテレビなどの家電事業だ。テレビのマザー工場はマレーシアの工場だが、マレーシア政府の指示で稼働停止に追い込まれた。テレビはここで基本的な部分を生産した後、各国の工場で販売先にあった調整を加えて販売される。現地では4月末までに一部の生産を再開したものの、部品調達を含めて不安定な状況が続いている。

それ以上に深刻なのが需要の動向だ。家電製品の販売先はヨーロッパやアメリカの比率が高い。これらの地域では消費が急激に縮小しており、小売店の多くは営業停止を余儀なくされている。日本でも、2020年2~3月のテレビ販売台数は対前年比減少となった。オリンピックの延期も決まり、緊急事態宣言の影響で市場環境は一層悪化している。

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