コメンテーターになぜこうもイライラするのか コロナ禍で「喋るほどに批判される」逆境の必然

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また、コメンテーターになれる人は一握りであり、なりたい人の多いポジションであることは間違いありません。だから、特別な存在となるために、日頃から人々の目を引くような「批判ありき」のコメントに偏ってしまうケースも散見されます。同様にコメンテーターが憶測のみで話し、代案がなく批判しっ放しになるのも、「批判ありき」の思考回路が身に染みついているからでしょう。ただでさえ視聴者は自粛生活でストレスを抱えがちなだけに、「批判ありき」のコメンテーターを見てイライラしてしまうのは当然なのです。

一方で制作サイドが「批判ありき」のコメンテーターを起用していることも批判を集めている理由の1つ。その意図は、「『批判が飛び交う』『対立構図が生まれる』ほうが視聴者の注目を集められるから」であり、ショーのように確信犯的に仕掛けているのですが、それが現在のような非常時には目に余るのでしょう。

作り手にとって「批判ありき」のコメンテーターは、「ショーとしての盛り上がりを生む」という意味で計算できる存在。実際、情報番組を取材していると、「進んで悪役のような立場を引き受けてくれる人ほど、現場で愛されている」という傾向も見られます。

それとは真逆の「無難なコメントのみでOK」とされているコメンテーターも、制作サイドにとっては計算できる存在。そんな穏健派の代表としてタレントやアスリートなどがキャスティングされていますが、やはり非常時の現在では浮いた存在となってしまいます。

感染症の専門家にも批判の声が

次に挙げておきたいのは、ここにきて新たに批判の対象になりはじめている感染症の専門家たち。あくまで彼らは専門家としてのゲスト出演であり、レギュラーコメンテーターではないのですが、毎日出続けることで事実上のトップコメンテーターというポジションとなっています。

3月には彼らの話を熱心に聞いていた視聴者も、日を追うごとに「あれだけテレビに出続けていて正確な情報を集められるのか」「本当の専門家ならテレビに出ている場合ではないはず」「いつも同じことを言っているだけで、あまり意味がない」などと批判の声を上げはじめているのです。

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