コメンテーターになぜこうもイライラするのか コロナ禍で「喋るほどに批判される」逆境の必然

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そうした批判のもとになっているのは、局も番組も違うのに出ている顔ぶれがほとんど変わらないこと。もともと情報番組の専門家は、トラブルを避けるためにメディア出演実績が豊富な人を起用する傾向が強く、それが“出演者かぶり”につながっています。

相手がメディア出演実績の豊富な人たちであり、「専門家に出てもらっている」という空気があるからか、コメントは個人に委ねるケースがほとんど。いい意味では「率直に話してもらっている」と言えますが、悪い意味では「エビデンスに欠け、感情論に流されても、放置している」とも言えます。毎日見ている視聴者が、そんな問題点に気づいてしまうのは当然でしょう。

新型コロナウイルスは未知のところが多いだけに、多くの臨床経験を持つ日本感染症学会の認定専門医や、感染症対策の実績がある人ですら、「はっきりとしたコメントがしづらい」のが実情。前述した「同じことばかり言っている」という印象を持たれていることを制作サイドは理解しています。

そんな背景があるからこそ制作サイドは、「不安視したほうがいいことと、楽観視できること」「やったほうがいいことと、やらなくてもいいこと」などをはっきりコメントできる人を重点起用。しかし、視聴者に「エビデンスに欠ける」「感情論に流されている」と思われてしまったら、批判を受けても仕方がないのです。

リモート出演の多用が番組を変える

現在は「ソーシャル・ディスタンスを取らなければいけない」「新型コロナウイルスに関して語れることが少ない」などの理由から、コメンテーターの人数やコメント機会を減らしている番組もありますが、業界内では「コロナ禍が過ぎたら、いったん元に戻る可能性が高い」と見られています。

その理由は、再びさまざまな情報を扱うようになったとき、3~5人のコメンテーターをそろえたこれまでの形のほうが話題を掘り下げられ、盛り上がりを生み出せるから。しかし、ある情報番組の制作陣から、「『リモート出演で十分だから、コーナーごとに専門家を呼ぶ形のほうがいい』という案が検討されている」という話を聞きました。

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