「行動変容」にも関係するが、2つ目の大きな疑問は、「8割」「8割」とノイローゼになるぐらい繰り返されるお説教である。
第1に、8割というのは人出なのか、接触なのか?という疑問である。これは、安田洋祐氏なども指摘しているが、当初は、人出を8割減らせというように、政府側も言っていたようであるが、あるときから、接触率を8割減らせ、という風に変わった。もし接触率8割でよいなら、人出は8割減らす必要はない。10人同士で接触するのが10×10=100だったのが、2人になれば2×2=4で、8割の人出削減だと接触は96%減るからだ。
第2に、私の反論は、4月17日配信の記事「接触機会8割削減策がズレていると考えるワケ」でも述べたように、接触の質にもよるので、濃厚接触を厭わない人の外出が減らなければ意味がない。逆に言えば、非常に気をつけて外出する人が多ければ8割減らす必要もないということだ。
ここでは、「住宅地のスーパーで多少の密になったときに、本当に感染が起きているのか?」あるいは「通勤の電車で、満員でなく普通に少し混んでいるときぐらいで、本当に感染が起きているのか?」。そういうデータも分析も公開されないので、どこをどう自粛していいのか、どういう自粛がもっとも効果的なのか分からない、ということが問題だ。ライブに行くこと、夜の店に行くこと、みんなで飲み会をすること、これらが悪いのは分かったが、あとは良く分かっていないのだ。
「8割達成」も「延長の判断」とは無関係?
しかし、ここでもっとも大きな疑問は、緊急事態宣言が必要かどうかだ。「行動変容が起きているか」「8割達成できているかどうか」ということがしつこく言われるが、それは、そりゃあ自粛しろ、といわれているから達成できているが、緊急事態宣言が外れれば、すぐに動き出すわけだから、今8割達成できているかどうかは、緊急事態宣言の延長の判断とは無関係であるはずだ、ということだ。
なぜそこまで8割にこだわり、街中に出ている人を見つけて批判したり、戦時中の隣組みたいに、近所の人に白い目で見られなければいけないのか。
1つ考えられるのは、感染者数というのは1週間前から2週間前の感染状況であるから、足元の感染状況は、今、人出が少ないかどうか、それしか判断材料がないから「今8割削減が達成されていれば、2週間後の数字はきっといいだろう、感染者数の増加幅は減少しているだろう」、という推測に使えるということだ。
おそらくこれなのだと思うが、そうすると最大の疑問点について考えざるを得ない。
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