4月30日の発表によれば、アメリカにおける新型コロナウイルスの感染者数は104万0488人、死者の数は6万0999人に達した。これは、ベトナム戦争時(5万8209人)を上回ったことを意味する。
米のコロナ死者数は2つの大戦の中間くらいに?
しかも、この悲劇はごくわずかな時間に生じている。年初の時点では、「武漢肺炎」という噂はあったものの、”Covid-19”などという言葉は存在しなかった。それが5月になったら全世界で324万人が感染し、約23万人もが死んでいる。人口が1億人を超えるわが国で、しかも1月時点から国内で感染者が発生しているにもかかわらず、死者がまだ3ケタ台で推移していることは、つくづく奇跡的なことに感じられる。
逆に世界最大の感染国となったアメリカでは、死者数はまだまだ増えそうである。ベトナム戦争以上となると、第1次世界大戦の死者数が11万6516人、第2次世界大戦は40万5399人、そして南北戦争は推定80万人となる。当初の想定である12万人から24万人くらいで収まったとしても、2つの世界大戦の中間あたりの死者数となる。今回のコロナショックは、間違いなくアメリカの「歴史を変える」事件となりそうだ。
よく知られている通り、アメリカは国民皆保険制ではない。高齢者、障碍者向けのメディケア(Medicare)、低所得者向けのメディケイド(Medicaid)という2つの公的保険があるけれども、それ以外の人は勤務先が提供する保険に加入するか、あるいは自分で民間保険を買わなければならない。そして約3億3000万人の総人口のうち、無保険者が3000万人程度いると言われる。
さらに今のアメリカでは、直近6週間の新規失業保険申請件数が、合計3000万人(!)に達している。これらをすべて失業者と見なした場合、失業率は22%前後(!)と文字通り大恐慌以来の水準となってしまう。5月8日に公表される4月雇用統計では、いったいどんな数字が出るか、今から戦々恐々としている。
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