「緊急事態宣言」の延長は本当に正しかったのか

新型コロナウイルス政策をめぐる3つの疑問

たとえば、厚生労働省のサイトでは「人が行動(生活習慣)を変える場合は、「無関心期」→「関心期」→「準備期」→「実行期」→「維持期」の5つのステージを通ると考えます」と説明されている。

これをコロナ感染拡大防止の点で考えると、行動変容とは、外出を自粛してステイホームを徹底するとか、三密を避けるとか、マスクを必ずするとか、手洗いは欠かさないとか、そういうことであろうか?それともパチンコ屋に行くのをやめる、夜、飲むお店に行くのをやめるということか?
そうであるし、そうではないとも言える。

行動変容とは「永続的に変わる行動変化」のこと

つまり、単純なことだが、大まかに言って行動変化には2通りあり、1つは制約条件が課されたために行動が変化した場合。もう1つは、行動する人間の行動原理が何らかの理由で変わった場合だ。前述のように、行動変容というのは、永続的に変わることだから、後者のことを指す。前者の行動変化は意味がない。なぜなら、制約条件が外れれば行動は元に戻るわけだから、行動原理はまったく変わっていないからだ。

馬券が当たってカツ丼を上に変えても、明日からは並に戻る。息子も彼女に振られれば、ファッションのことは忘れ、バイトも止める。これらは意味がない。では風呂はどうか? もし風呂に入る習慣ができて、彼女と別れても毎日風呂に入るようになったらどうか? これは行動原理が変わるというよりは、風呂に入るということの価値に気づいたことによって、これまでの行動を決定するときの行動の選択肢に関する価値評価が変化することであり、「行動変容」である。

さて、緊急事態宣言を続けると「行動変容」が起きる、というのはどういうことか?マスクをしなかった人たちがマスクを嫌がらずに必ずするようになる。頻繁に手を洗うようになり、外出先でも食事の前には必ず手を洗うようになる。

満員電車はコロナがあろうがなかろうが、インフルエンザにもただの風邪にも良くないから、避けようとするようになる。企業は、テレワークのほうが効率的な部分もあるから、今後永続的にテレワークの割合を増やす。夜の店の濃厚接触というのはいろんな感染リスクがあるから、もともと必需でもないからこれを機会に通うのを止める。こういうことが起これば、「行動変容」であろう。

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