コロナ「重症患者」を実際に治療した医師の証言 喫煙と肥満は危険因子、若年でも油断できない

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Zoomで取材に応じた郷間厳医師。普段は禁煙外来も担当している(筆者撮影、画像はZoomより)
感染した患者のうち、約2割が重症化するといわれる、新型コロナウイルス。今、私たちは、どのようなことに注意すべきなのか? そして、医療崩壊の危機が伝えられる現場のリアルとは?
第一種感染症指定医療機関として、新型コロナ感染症の治療にあたる、大阪府の堺市立総合医療センターの郷間厳・呼吸器内科部長に緊急インタビューした。(※本取材は、遠隔会議システム・Zoomを利用して、5月3日に実施)

インフル肺炎より重症でなおかつ長引く

──新型コロナの治療に関して、現状はどのようになっていますか。

5月3日現在、入院患者は13人。このうち、エクモ(※体外式膜型人工肺)は、1人に減り、人工呼吸器を含めICU(集中治療室)に入っている人は4人。先々週は、入院患者が倍以上いたので、対応がかなり厳しかった。

難しいのは、この新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と同様の病気がないこと。強いて言えば、インフルエンザだが、インフルエンザの肺炎より重症で、なおかつ長引くという印象だ。

──重症化する患者の傾向は、明確になってきたのでしょうか。

これまで、59人の患者を受け入れて治療しているが、この数で、はっきり傾向を言うのは難しい。若い人でも中等症になる患者もいるし、高齢でも比較的軽く済む患者もいる。中国の報告から、高齢者ほど重症化することは知られていたが、若年者だからといって安全とはいえない。それが、この新しい病気が持つ難しいところだろう。

喫煙歴については、重症化因子の1つと疑っている。全59人の患者のうち、喫煙歴がある人は21人。このうち6人が重症化して、人工呼吸器を装着した(約30%)。一方、喫煙歴なしの患者は38人、このうち4人が人工呼吸器の装着となった(約10%)。

──この数字を比較すると、重症化する割合は喫煙者のほうが非喫煙者の約3倍に見えますが?

私は、新型コロナの重症化の要因を特定するには、一つの施設のデータだけではなく、疫学的(多施設の症例数から解析する)統計が重要という立場。

ただし、重症化因子として、狭心症や心筋梗塞など、循環系(心臓)の問題が当初から指摘されていたが、この循環器疾患はタバコの影響が非常に大きい。

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