中田:ムダを削減しようとするとき、以前の7~8割くらいにすればみんな減ったほうだと思ってしまう。それでは駄目。まずは全ていったんゼロにすることを考える必要があります。会議をいったん全部やめてゼロにしてみることが大事。その上で何か困ったことがあったら集まって相談をするはず。それが本当の会議なんです。毎月2〜3時間行っていた執行役員会議も、今では2カ月に一度になり、所要時間も1時間です。
社員が健康で集中力高く仕事の出来る環境こそ、経営戦略だと思いますね。わが社の社員の睡眠時間を取ったデータが無くて残念なのですが、きっと飛躍的に伸びていると思いますよ。
小室:最近の研究では、睡眠が始まってから6時間経過した時点から「精神の疲れ」が解消する時間帯に入るということがわかってきました。前日に受けたストレスがコップに毎日たまっていってしまうと、メンタル疾患や過労死につながってしまう。ストレスの蓄積がコップの容量からあふれることで「いなくなりたい」「死にたい」となってしまうのです。睡眠を1日6時間以上取ることで「精神の疲れ」がリセットされてストレスの蓄積を予防できるわけです。
勤務と勤務の間のインターバルが重要
中田:だからやはり、勤務と勤務の間にインターバルを入れるということが重要ですよね。わが社では9時間の勤務間インターバル制度を導入していますが、通勤時間往復2時間に睡眠7時間、食事などの時間を加味すると、インターバルはヨーロッパのように11時間がいいのかもしれないですね。
小室:インターバル規制は、EUではすべての国で批准されていますが、日本だけが昨年の春の法改正で「努力義務」になったにすぎません。義務化が急がれますね。
睡眠が不足している方は、本人は自覚していませんが非常に「不機嫌」になります。当然パワハラなども増えていきます。睡眠不足の人がオフィスに1人いると、その人がいろんな人に怒るので、周りの方たち全員の心理的安全性が損なわれることがわかっています。
9時間のインターバル制度も導入していて、19時前退社にも取り組まれているので、睡眠不足に起因するパワハラなどの問題が減って、それが業績向上にもつながっているのではないでしょうか。
中田:私が営業本部長だった時代から、パワハラ・セクハラを撲滅すると宣言して取り組んできました。目標は完全な撲滅なので、そこを目指しています。
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