小室:ところで、SDGsにもいち早く取り組まれましたね。
中田:弊社は2008年に日本で初めて「ワクチン債」を販売しました。開発途上国の子どもたちにワクチンを提供する資金を調達するための債券であり、当時、医療関係者から大きな反響がありました。また、私自身が日本の子どもの貧困問題について強い関心を持っていたこともあり、社長になった直後の2017年9月に「大和証券グループ 夢に向かって! こどもスマイルプロジェクト」を開始しました。
その後、SDGsという言葉が浸透しはじめて、17の目標の1番目に「貧困をなくそう」とあるのを目にして、自分たちの事業はまさにSDGsに紐づけできると思ったんです。
2020年度で中期経営計画が終わるため、次期中計では、SDGsについて詳細なKPIを設定する予定です。そこで、2020年度から新たにSDGs担当役員を任命しました。
評価は後から付いてくる
小室:若手社員の奨学金返済を無利子でサポートする制度を導入したことでも話題になっていますね。
中田:2カ月に1回程度は支店に訪問し、新入社員と話す機会があります。そこで「私、こんなに奨学金の返済があるんです」という話を耳にして驚いたので、同世代である我が家の子どもにも聞いてみたんです。
小室:なるほど。「周りの人はどうなの?」と聞いたわけですね。
中田:そうしたら「結構いるよ」という答えだったので、実際に調べたら2.7人に1人がそうだ、と。衝撃的な数字でしたね。
小室:そこですぐに若手社員の奨学金返済負担を軽減する制度を作られたんですね。今では100人以上が毎年利用されているということで、本当に今、必要な制度だと思います。
こうした制度も含めて、例外なく働き方を見直してきたことが、今採用の面で大きな強みになっているのではないですか?
中田:そうですね。2005年に女性活躍推進チームを作り、その後ワーク・ライフ・バランス推進室を設置。2007年から19時前退社の取り組みを始めました。スタートから15年になりますが、働き方改革に取り組む前は、就職人気ランキングは圏外でした(笑)。しかしそれがついに2018年には総合4位になり、金融業界において1位になりました。弊社にとって人材は生命線ですから、非常に嬉しく誇らしいですね。
ただ、就職人気ランキングやアワードを目的化してはならない。就職人気ランキングやアワードのために取り組んだわけではなく、「女性も活躍できるような環境を整えよう」「会社全体を良くしよう」といったところから取り組んだ施策が、結果として評価に反映されたということです。やはり本質を追求することが重要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら