また、サイズ感や着心地が重視される衣料品については、実店舗で試着や素材感のチェックをした後にECで購入する、あるいは商品情報をECで事前チェックした後に実店舗で最終確認して購入する消費者も多い。
アパレル側も消費者の購買行動に寄り添うかたちで、店舗別の在庫状況の表示や試着予約などのサイト機能を充実させてきた。実店舗の休業は、こうした店舗との連携を前提としていたアパレルが運営するECにも大打撃となった。
自社ECでの集客増に限界
アパレル各社は会員顧客向けに新商品や限定セールの案内の発信を強化するものの、自社サイトだけで新規客を獲得して顧客の裾野を広げるハードルは高く、春夏商品の在庫をさばくことは不可能に近い。
窮地に立たされる中、コロナ禍でも営業を続ける有力な販路として、年間800万人超の購入者を抱えるゾゾタウンに期待する機運があらためて高まっているのだ。
ジーンズ量販大手のライトオンは4月下旬、ゾゾタウンに再出店した。同社は2019年2月、ゾゾタウンでの有料会員向け割引サービス導入をきっかけに、ブランドイメージなどへの影響も考慮してゾゾタウンなど複数のECモールから撤退。自社サイトでの販売強化に向けて経営資源を集中させてきた。
が、その後は自社サイトでの新規顧客取り込みが想定ほどうまくいかず、実店舗の販売も大苦戦を強いられている状況で、2019年秋頃からゾゾタウンを含めたECモールへの再出店を模索していた。
同社の藤原祐介社長は、「販路拡大を進めるうえで、ファッションサイトの中ではゾゾタウンは外せない。以前は(販売手数料やクーポン値引きで)利益率が低かったが、ZOZOの経営体制も変わり、われわれのゾゾタウン上での商売のやり方を変えれば、よりよいビジネスができるのではと考えた」と話す。
同時期にゾゾタウンから撤退したほかのブランドの中堅社員も、「今のままでは自社ECの飛躍が見込めず、ゾゾタウンへの再出店も選択肢の1つ」と明かす。
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