「ゾゾ頼み」再燃も、ZOZOが喜べない複雑な事情 ライトオンが再出店、自社ECの集客に限界も

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前澤氏の後任となったZOZOの澤田宏太郎社長(中央)(写真は2019年9月のもの、撮影:風間仁一郎)

ゾゾタウンへ出店するアパレルの多くは新型コロナウイルスの影響で、都心を中心に3分の2程度の実店舗を閉めないといけない状況に追い込まれた。本来ならば春夏商品が定価で売れる商戦期に売り場を失ったアパレルから、在庫の消化依頼が急増しているようだ。

アパレルから販売委託商品が増えている状況に対し、ZOZOは4月に、送料無料キャンペーン(通常は送料一律210円)を6日間実施。澤田社長は「プロモーションコストをかけて、販売力を高めていく」と強調する。

ECで実店舗の補填には限界

ゾゾタウンへの販売依頼が増えている裏には、自社で在庫をさばき切れない状況に陥ったアパレルの苦しい事情がある。

「休業している実店舗の損失を自社ECでカバーするなんて無理。4月以降もECは大して伸びていない」。緊急事態宣言発令後、大半の店舗を休業しているSC(ショッピングセンター)向け中堅アパレルの幹部はため息をつく。SC系や百貨店系などジャンルを問わず、複数のアパレルからは「実店舗が閉まっても、自社ECの売り上げが想定ほど取れない」といった声が漏れ伝わってくる。

都市部を中心に外出自粛ムードが高まった3月のアパレル各社の月次売上高を見ると、セレクト大手のユナイテッドアローズは実店舗(既存店、以下同)の売上高が前年同月比で40%減だったのに対し、EC売上高は同24%増。実店舗とECを合計した売上高は同24%減に沈んだ。

「アンタイトル」や「タケオキクチ」を展開するワールドも、3月の国内実店舗売上高は前年同月比で40%減だった。EC売上高が13%増だったものの、合計売上高は35%減に落ち込んだ。

もともと多くのアパレル企業の売上高に占めるEC比率は1~2割程度。大半の売り上げは実店舗で稼いでいただけに、ECが多少伸びても実店舗の売り上げ喪失分を補填することは難しい。さらに、4月以降は在宅勤務や「ステイホーム」の風潮が一層広まり、外出する機会も激減した。新しい服を着ていく場面がなくなれば、ファッションの需要自体も大幅な減少が避けられない。

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