「ゾゾ頼み」再燃も、ZOZOが喜べない複雑な事情 ライトオンが再出店、自社ECの集客に限界も

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ブランドからの販売依頼が増えているZOZO。ところが、手放しで喜べる状況というわけでもない。

ゾゾタウンの4月の商品取扱高は公表されていないが、ZOZOの広報担当者は「外出自粛によりECに追い風がある点ではポジティブだが、巣ごもりに伴うファッション需要の減退はネガティブであり、両影響が相殺し合っている」と話す。出店するアパレル企業の幹部も「ゾゾタウンでの売り上げは、それほど伸びていない」と肩を落とす。

ZOZOは今後も、送料無料キャンペーンのようなプロモーションを強化して、販売力を高める方針だ。それでも、プロモーションが想定ほど寄与しなければ、販促費用がそのまま利益圧迫要因となる。

また、ゾゾタウンで販売する商品は千葉と茨城にあるZOZOの物流拠点に保管されているが、倉庫内での仕分け・発送作業は人海戦術に依存している面が大きい。「三密」状態を避けるべく、ZOZOでは倉庫での稼働人員を抑えたうえで、即日配送サービスを停止するなどの措置を取っている。アパレル側からの商品の入荷も一定の制限を行わざるをえない状況と見られ、倉庫の稼働率アップは当面難しいだろう。

求められるテクノロジー活用

新型コロナ収束後のファッション業界の先行きについて、ZOZOの澤田社長は「実店舗を含めてデジタルシフトが加速する。われわれが持つノウハウや顧客基盤をフル活用して、デジタルシフトの波を先導していきたい」と述べる。ゾゾタウン上でも、出店ブランドの店舗別の在庫表示機能を備えるなど、実店舗とECのさらなる連携強化を検討しているという。

新型コロナの影響は長期化が懸念され、緊急事態宣言の解除後も他者と距離を置く「ソーシャル・ディスタンス」を徹底する傾向は当面続くことが想定される。アパレルの実店舗が営業を再開しても、商品の試着や販売員の過度な接客は避けられる可能性が高い。

こうした状況下では、試着しなくても自分に最適なサイズが把握できたり、接客を介さなくても自分に似合う商品を提案したりする、テクノロジーを活用したサービスが一層求められそうだ。

コロナショックに直面した企業の最新動向を東洋経済記者がリポート。上の画像をクリックすると特集一覧にジャンプします

2018年に大量配布した採寸用ボディスーツ「ゾゾスーツ」は、採寸精度などの問題により生産中止に追い込まれたが、ZOZOは今後の成長の柱としてファッションとテクノロジーの両面強化を打ち出す。今年3月には、足を自動計測する「ゾゾマット」を活用し、相性のよいサイズの靴を提案するECモール「ゾゾシューズ」を開設したばかりだ。

コロナショックに苦しむ業界を下支えする役割を果たし、ZOZOの存在感を再び高めるチャンスに変えられるか。販売力の強化だけでなく、ゾゾスーツでは大失敗に終わったテクノロジー活用による利便性向上策をどこまで追求できるかが、再成長のカギを握ることになる。

真城 愛弓 東洋経済 記者

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まき あゆみ / Ayumi Maki

東京都出身。通信社を経て2016年東洋経済新報社入社。建設、不動産、アパレル・専門店などの業界取材を経験。2021年4月よりニュース記事などの編集を担当。

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