【イギリス】ロックダウンに先駆け雇用補償を発表
イタリアの状況を、「3週間遅れで追っている」と言われているイギリス。人口6665万人 (2019年時点)中、感染者17万1253人、死者は2万6771人とイタリアに迫る勢いだ。これまでにPCR検査を90万1905件実施している。
イギリス政府は、3月13日の時点ではまだ「人口の60%が感染することで集団免疫を獲得する」戦略を取っていた。しかし16日から一転して規制を強化しはじめ、23日に「緊急事態」を宣言しロックダウンへと突入。生活必需品を販売する店以外は閉店、3人以上の集まりは禁止され、運動のための外出も1日1回と制限されている。
3月16日からの1週間を、ロンドン在住の金澤さん(37歳)は「毎日の変化が目まぐるしく、気が気ではなかった」と振り返る。12年前からロンドンで暮らす金澤さんは、スーパーやレストラン事業を展開するで企業で働いている。
補償があるから従業員を休ませられる
「3月前半の時点では、特に危機感は感じていませんでした。まさかここまでの事態になるとは」。ロックダウンに伴い系列のレストランは全店休業、スーパーも2店舗が短縮営業するのみとなった。
ジョンソン首相はロックダウンに先駆け、GDPの15%に当たる総額3500億ポンド(約47兆円)を経済対策に投資すると宣言。一時休業した労働者に対して、8割の給与を月額最大2500ポンド(約33万円)、最長3カ月補償する「雇用維持制度」を発表した。この制度は個人事業主やフリーランスにも適用され、対象者にはHMRC(英国歳入関税庁)から直接連絡が来る仕組みだ。
金澤さんは「不安はあったが、ロックダウンより前に政府から給与補償の発表があったので気持ちが落ち着きました。補償があるから、従業員を休ませる判断ができた会社も多かったと思う」と語る。
またイギリスには、失業保険や生活支援金などがセットになった低所得者向け給付制度「ユニバーサル・クレジット」があり、ロックダウン開始から4月14日までの間に100万人近くが申請している。
イギリスでは毎日午後5時に会見があり、中央に政府の人間、左右にソーシャルディスタンシングを保ちながら専門家が立ち、記者はリモートで質問する。
首相らの会見台には、目立つ形で「Stay home, protect the NHS, save lives」(家にいろ、NHSを守れ、命を救え)というスローガンが掲示されている。NHSとは、無料の医療制度のことだ。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら