また、一部の自治体が実施しているプリペイドカードによる給付金も、居住外国人は対象から外されていた。これは後に人権団体の抗議を受け給付を行う方針に変わっている。
韓国政府は、コロナウイルスによる経済対策に総額240兆ウォン(約21兆円)を投入し、基幹産業の支援や雇用対策、個人事業主の支援に当てる方針を示している。中でも目玉は、国民一律給付に向け進められている「緊急災害支援金」だ。これも給付対象は原則として「国民」となっており、外国人は韓国人と結婚しているか、永住権がある者だけが含まれるとしている。
日本でも一律10万円の現金給付が決まった際、国会議員が「外国人への給付は見直した方がいい」などとSNSで発言、物議を醸した。その後、総務省が給付の対象は「住民基本台帳に記録されている全ての住民」と発表。ここには外国籍や無国籍の人も含まれている。
かおりさんは、新規感染者の数が抑えられていることから、政府に対する安心感はあるという。「韓国では4月15日に総選挙がありました。ウイルス対策は取られていたものの、投票率が66%と高く心配でしたが、その後も感染者は増えていません。選挙は与党が圧勝し、文大統領のコロナ対策が評価されていると感じます」。
最近では外を歩く人の姿も増え、少しずつ日常生活が戻ってきているという。かおりさんが通う大学院も5月から授業を再開する。
韓国は日本と同じく、4月末から5月初めにかけて連休があるため、外出増加が予想されている。政府は再び感染が広まらないよう、これまで通りのウイルス対策を行うよう呼びかけている。
ウイルスが浮き彫りにする各国の問題
ここまで、海外の新型コロナウイルスへの対応と経済補償について見てきた。日本政府が発表している給付金や助成金については、厚生労働省と経済産業省のサイトに情報がまとまっている。
国により社会的背景が異なるため、対策の内容を単純に比較することはできない。だが世界中が同じウイルスに立ち向かっている今、1日も早い収束を望むのなら、各国で情報を共有し最善策を取っていく必要があるだろう。
「ウイルスは人を選ばない」と言うが、アメリカの例を出すまでもなく、スーパーや飲食店など対面業務につく移民の割合は各国で高い。日本でも、2019年の在日外国人数が過去最高の293万人となっており、他人事ではない。
移民に限らず、それぞれの国が構造的に作りだした社会的弱者が、新型コロナウイルスの犠牲になり始めている。命を選別する社会は自分が「選ばれる側」であるうちはいいが、そうでなくなった時に見捨てられるリスクと表裏一体だ。社会の問題から目をそらしたままで、感染拡大の阻止や経済回復を目指すことは、もはや不可能ではないだろうか。
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