【カナダ】すべての企業と個人に補償を
アメリカと同じく多民族国家のカナダは、人口3759万人(2019年時点)、感染者は5万4457人、死者は3310人となっている。これまでに行われたPCR検査数は77万9613件で、死者の半数以上が東部のケベック州に集中している。
日本でバーチャルオフィスを展開するワンストップビジネスセンターの代表を務める土本真也さん(43歳)は、子育てしやすい環境を求めて4年前に家族でバンクーバーへ移住した。以来、東京とカナダを行き来する生活を送っている。
カナダと東京は「厳しさ」がだいぶ違う
取材時、土本さんは仕事のため帰国し、2週間の自宅隔離中だった。「羽田空港に着いてから、乗客全員がひと部屋に集められPCR検査を受けました。カナダと比べると、ソーシャルディスタンスが厳密には守られていない印象でした。そこから指定の車で東京の自宅に戻り、2週間の隔離生活を送っています。カナダの場合は定期的に見回りが来て、家にいなかったら高額の罰金が科せられるんですが、東京ではそういったチェックはありません」。
土本さんと家族が暮らすブリティッシュ・コロンビア州は、3月18日に緊急事態宣言が出され、事実上のロックダウン状態になった。
トルドー首相は同日、コロナウイルス対策に最大820億カナダドル(約6兆1000億円)を拠出すると発表。これはカナダのGDPの3%以上に当たる。さらに25日には1070億カナダドル(約8兆3000億円)に増額した。
政府は、売り上げが3割減少した全ての企業と非営利団体の、従業員給与75%を3カ月補償する。また収入を失った個人(フリーランス・個人事業主含む)に対し、月2000ドル(約15万円)を最長4カ月間給付。この給付金は4月6日にオンライン申請が始まり、10日間で755万人に振り込まれた。
土本さんの家庭も、子ども手当が約2倍になったという。「カナダでは子ども1人につき300~400カナダドル(約2~3万円)ほどが毎月もらえるんですが、それが増額されました」。
他国に比べ迅速で手厚い対応にも関わらず、すでにかなりの失業者が出ている。「バンクーバーはワーキングホリデーで来ている外国人が多い。彼らの主な仕事先は飲食店で、正規雇用ではないので真っ先に解雇されます。補償はワーホリビザの人にも適用されますが、仕事がないため帰国した人もたくさんいました。知人の飲食店も、家賃と給与補助は出ていますが、このまま休業が続けば厳しい状態です」。
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