プロに聞く「子どもの作文力」劇的に上げる方法 ちょっとしたトレーニングで大きく変わる

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展開部分は自分の作った意見に関連した話で進めていっていいのですが、書き出しと結びだけは、課題として出されている「世界地図」というキーワードを使ってまとめていきます。

結びの意見を書くときには、「確かに別の考えもあるが……」というように、反対意見に対する理解を入れて書いていくと意見が深まります。

準備力を高めるポイント

以上、中学入試に出題された作文問題2問をご紹介しました。

象徴課題にかぎらず、作文力は上達するのにかなり時間がかかるので、合格作文を書くレベルまでいくには、基礎的な文章力があることが必要になります。そして、この基礎的な文章力を伸ばすために大事なのが準備力です。

その準備力を高めるポイントは、大きく二つあります。

『小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

一つ目は、題材の準備です。あるテーマについて、子どもの考えた実例だけでなく、お父さんやお母さんの体験談も話してあげます。また、子どもが自分で調べる力があれば、そのテーマに関連する資料をデータが入るような形で調べます。

二つ目は、感想の準備です。世の中で話題になっていることやニュースなどについて、日ごろから親子で話し合うことです。大人の視点を知ることで、子どもは感想をより深めて書いていくことができます。

受験作文は、過去問に沿った課題で勉強しますが、過去問とそっくり同じ課題でやる必要はありません。題材をふくらませていくことと主題を深めていくことが受験作文の準備で、それができたうえで、表現を工夫していくという形で上達させていきます。

この受験作文の準備と同じことを小学校低学年からやっていくと、試験のときにも使える材料が蓄積されていきます。

子どもの作文力は親の関わり方が大きく影響します。ぜひ、子どもの“考える力”を伸ばし、準備力を高めるために、上記のような親子の対話や取り組みを行ってみてください。

中根 克明 作文教室「言葉の森」代表

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なかね かつあき / Katsuaki Nakane

1952年生まれ。千葉大学園芸学部卒業後、25歳のとき、マスコミ志望の大学生を対象にした作文教室を開く。1981年、作文教室の草分け的存在である「言葉の森」を横浜で開講。通信教育も始め、小学生から社会人まで約1万2000人が学んだ。卒業生には東大・京大・早稲田大・慶應大などの難関大、難関中・高に進学する生徒が多数。オンラインを利用した少人数の発表型の学習で思考力、創造力を伸ばす「寺子屋オンライン」を開催する。著書に『小学校最初の3年間で本当にさせたい「勉強」』(すばる舎)、『小学生のための読解・作文力がしっかり身につく本』(かんき出版)がある。

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