学習塾のオンライン化「諸刃の剣」と言える理由 塾経営者たちが語るメリットとデメリット
「学校がオンライン授業をしたとして、今後もずっと行っていくことには反対です。多様な他者の考えを知ることで、自身の学力の習得に結びつくと考えているので……」
そう本音を漏らすのは、学習塾に子どもを通わせる母親だ。
新型コロナウイルス感染拡大の影響による学校休校。文科省の調査によれば、休校している学校は全体の91%に上り(4月22日正午時点)、いまだ出口が見えない状況に鑑みて、9月入学・新学期制を求める声も聞こえ始めている。
学習支援コンテンツポータルサイト「子供の学び応援サイト」の立ち上げ、家庭での学習や校務継続のためのICT(情報通信技術)の積極的活用の提案など、文科省はオンライン授業に対応できるようさまざな対策を講じているが、地域や各校、各家庭によってばらつきがあるため、学校のICT化は教育格差を生むのではといった声も上がっている。冒頭の保護者の吐露は、そんな懸念を表している一例と言えるかもしれない。
オンライン授業を考えるとき一つのヒントになりうるのが、学習塾の存在だろう。というのも、大手進学塾、街の個人塾、規模の大小こそあれ、経営者の判断でスピーディーに物事を決めることができる学習塾の中には、先んじてオンライン化に舵を切っているところが少なくないからだ。どういったメリットが生まれ、どのような課題が浮き彫りになるのか――、学習塾のオンライン化から学べることは多い。
オンライン化には何が必要か?
オンライン化と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、双方向の動画配信によって行われる授業(=オンライン授業)かと思う。
だが、それを実現するうえで、まず整備しておくことが望ましいのが、バックオフィスのオンライン化だ。授業のオンライン化には、2つの側面があるということを忘れてはいけない。
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