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学習塾のオンライン化「諸刃の剣」と言える理由 塾経営者たちが語るメリットとデメリット

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無論、バックオフィスのオンライン化は実装済みである。予約管理や参加人数の制限など万全を期したにもかかわらず、「緊急事態宣言をきっかけに、対応してきたオンライン授業を一時停止し、1ヵ月間の全面休校を決めた」というから驚きである。

「まず、オンライン授業に参加できない、つながらないという初歩的な問題が起こりました。想定の範疇だったので、保護者の方へは『つながらない場合は電話やメッセージをください』という具合に、トラブルシューティング担当のスタッフを常駐させていたのですが、それでもパンクしてしまう状況です。さらには、参加人数をコントロールしたつもりでも、回線速度が落ちてしまい不安定な状況になってしまいました」

「講師の負担」増える危険

また、実際に指導にあたる講師への負担も明らかだったと振り返る。

「画面越しに生徒の反応を見るため、いつもより気を張ってしまうと、多くの講師が漏らしていました。通信が乱れると、説明が伝わったのか不安になってしまうようで、いつもより声を大きくしたり、同じことを確認の意を込めて繰り返したりするんですね。

また、資料をプリントアウトして直接配布することができないため、PDFにして添付するなどオンラインだからこそかかる手間も生じます。講師の疲弊が目に見えて明らかだったため、リアルタイムでの配信に限界があると判断し、休校期間を使って事前録画した動画コンテンツなどを配信しながら打開策を講じているところです。あくまで会議ツール、ミーティングツールなんですね。

2~3人の個別指導ならカバーできますが、大多数となると齟齬が生まれてくる。学習塾支援システムのさらなる高度化も必要になってくるのではないか」

完全オンライン化することで初めて見えてくるものがある。全国に先駆けて学習保障のための動画配信を行った横浜市も、以下のお知らせをHP上に掲載している。

横浜市でいち早く授業の動画配信が可能になったのは、教職員の研修のためのeラーニングシステム企業のご協力を得て、横浜の子ども達のために社会貢献でIDの配布や動画配信を可能にしてくれたからです。利用対象が、横浜市の教職員約1万7千人から市立学校児童生徒約27万人に増え、同時期にアクセスが集中している状況の中、新規に市のHPに状況連絡を出したり、教職員のeラーニングと授業動画のサイトを分けてアクセス分散を図るなど、初めて直面する問題に対して日々試行錯誤しながら対応しているところです。

トライ&エラーを繰り返し、成長していく……ことが望ましいが、学校はおろか、規模の小さな学習塾でさえまだまだオンライン化への道のりは険しい。仮にオンライン授業が行われるようになったとしても、トラブルですぐに立ち止まる可能性があることは覚えておいたほうがいいだろう。

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【進む「学習塾の2極化」】

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