企画し始めたのは4月23日。提携工場との価格交渉、パッケージのデザイン、販売ページの制作、サーバ増強などの対策を施し、翌日には原価を割り出し、販売にゴーサインを出したという。
「工場からの仕入れは0.27ドル。決済時の円-ドル為替レートが108.83円だったため、29.38円だった。そこに送料、関税、決済手数料、倉庫手数料などを積み上げ、税込み2176円になりました」(星川氏)
価格高騰の主な理由は複数あるようだが、フィルターとなる不織布の供給が逼迫し、通常時の5~6倍の価格になっていることが大きな理由だという。しかも不織布の価格は、さらに上昇を続けているという。
背景にあるのは欧米諸国での絶え間ないニーズの増加だ。もともとマスクをする習慣がなかった国々で急速に需要が立ち上がり、末端での販売価格が高騰。マスク生産工場が材料の不織布を取り合っている。
「以前の1枚10円を切る時代のコストに関しては詳しくないが、世界的なニーズの高まりが中国でのマスク原価高騰につながっている」(星川氏)
適正価格の国産マスクが行き渡るまで
さて、トリニティの原価マスクは4月27日20時47分に受注を開始するとアクセスが集中。星川氏によるとそれを予想し、サーバーを増強していたものの、同時アクセス数は想定していた上限の8倍となる8万同時アクセスを記録したという。
途中のメンテナンスを挟み、およそ15時間で受注停止としたが、当初は受注停止になるとは想定していなかった。ゴールデンウィーク明けまでに入手できるマスクの数を超える可能性が出てきたため、いったん受注を中断して協力工場への生産手配を改めて行っている。
販売の内訳について星川氏は「個人向け販売は40~50万枚、医療機関や公共施設などから200~250万枚、合計300万枚の需要がありました。医療機関や公共施設向けは別途受注を受け付けており、1000枚単位での納品としています。実は4月30日に最初のロットが工場から納品され、日本に向けて発送されました。5月11日ぐらいから発送が始まります」と話す。
配送ルートの確保などもあるため現時点では明言はできないようだが、今月中には総計500万枚を確保できる見込みだ。
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