賃金債権の消滅時効が5年でなく3年になった訳 民法改正めぐり労使で繰り広げられた綱引き
今回の改正により「当分の間」は5年ではなく3年となってしまった。
この「当分の間」とは、他の法令での用語の使われ方をみると、改正がなされない限り、半永久的に続く危険がある(例えば、宝くじの根拠法令である当せん金付証票法(昭和23年法律第144号)第1条は「この法律は、経済の現状に即応して、当分の間、当せん金付証票の発売により、浮動購買力を吸収し、もつて地方財政資金の調達に資することを目的とする」と規定されているが、宝くじが終了する気配はまったくない)。
未払い残業代を請求する対象は拡大された
そうはいっても、従前の2年よりは長くなった分、未払いの残業代を請求する対象は拡大されたのもまた事実ではある。
今後、未払い残業代について、労働者が積極的に請求をしていくことにより、長時間労働を抑制されるような方向に向かっていくことが望まれる。
最後に法律の条文を整理しておく。
第166条 債権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する
2)権利を行使することができるときから10年間行使しないとき
第115条 この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く)はこれを行使することができる時から2年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。
①第109条の規定の適用については、当分の間、同条中「5年間」とあるのは、「3年間」とする。
② 第114条の規定の適用については、当分の間、同条ただし書中「5年」とあるのは、「3年」とする。
③ 第115条の規定の適用については、当分の間、同条中「賃金 の請求権はこれを行使することができる時から5年間」とあるの は、「退職手当の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による賃金(退職手当を除く)の請求権 はこれを行使することができる時から3年間」とする。
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