民法改正を知らない人は損するかもしれない 2020年施行の新ルールがビジネスを変える

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120年ぶりの抜本改正がビジネスを大きく変える(イラスト:シライ カズアキ)

2020年前半、改正民法が施行される。その改正内容を知らぬまま、何も対応しないでいる企業は、たとえば施行日以後、次のようなことに見舞われても不思議ではない。

運送業者やeコマース、銀行、保険などの企業が顧客との取引で日常的に使う「約款」。約款とは「画一的・集団的な契約において、契約の迅速・安全を期する目的で、あらかじめ定型的に定められた契約条項」(百科事典マイペディア)だ。企業と個人がこれに基づいて取引・契約する場合の内容、権利義務関係が細かく示されている。

民法改正後、「約款」が突如無効になるかも

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改正民法の施行日をまたいで、従来の約款が突如として無効だと判断されることもある。条文の1つに、”不当条項”が入っている場合だ。不当条項とは、契約の相手側の権利を制限するなど、事業者にとってあまりに有利なものとなる契約の条項のことである。不当条項が入っている約款は、改正後の民法では、「合意しなかったもの」と見なされる。

これまで「約款」には明確な定義や運用ルールが法的には定められてこなかった。そのことが細かい文字のすみずみまで普通は全部読み込まないでサインするのに、効力があるといえるのか、といったようなトラブルを招いてきた。今回の民法改正では、「定型約款」の項目を新規に設けて、約款の定義や運用ルールを初めて決めた。不当条項はその一つだが、約款を用いるすべての企業は、この新ルールを順守しなければいけない。

『週刊東洋経済』は8月28日発売号(9月2日号)で、「まるわかり 民法大改正&個人情報保護法」を特集。120年ぶりの大改正となった民法や、今年5月30日に全面施行された改正個人情報保護法について、仕事に影響必至となる変更の重要ポイントを網羅している。

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