民法改正を知らない人は損するかもしれない 2020年施行の新ルールがビジネスを変える

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民法とは計1044条に及ぶ、個人の権利義務関係のルールを定めた体系だ。中でも今回は主にカネの貸し借りなど対人取引に関する契約のルール(債権法)を、時代の変化に合わせて一新させた。法務省は民法改正について「ほとんどが既存の判例を明文化したもの」と事もなげに説明するが、条文が変われば当然、解釈の余地も変わってくる。普段の仕事の中身や契約書の再考を求められる改正ポイントは少なくない。

「約款」を見直さないと民法改正後、無効になるケースもありえる(写真:nara / PIXTA)

たとえば改正民法では、借金の保証のルールも大きく変わった。事業資金の融資をしてもらう際に経営者などがつける「保証人」。他人に事業融資の保証を依頼するときは、前もって公正証書によって保証人の意思確認をしないといけなくなった。そうでないと、保証契約自体が効力を生じないことになる。

すべての団体が個人情報保護法に従わなければならない

個人情報保護法の改正では、「管理件数5000件未満を法律適用の対象外」とする規定が撤廃されたのが大きい。これによって、中小企業だけでなく、非営利団体、自治会やPTA、マンション管理組合など、すべての団体が同法のルールに従わなければならなくなった。個人情報を取得する時、利用する時、保管する時、第三者に提供するといった、各段階で、細かな運用ルールを法は定めている。

そのうえ”法の番人”も新設された。内閣府の外局である個人情報保護委員会が監督役を担うことになり、悪質な法違反者には、「30万円以下の罰金または6カ月以下の懲役」などの罰則も視野に入れて取り締まるという。

個人情報を1件でも管理している業者は、何もしないと大変なことになるかもしれない。改正点をどう理解し、どう対応するべきかは、すべての企業が知っておかないといけないのである。

『週刊東洋経済』8月28日発売号(9月2日号)の特集は「まるわかり 民法大改正&個人情報保護法」です。
西澤 佑介 東洋経済 記者

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にしざわ ゆうすけ / Yusuke Nishizawa

1981年生まれ。2006年大阪大学大学院経済学研究科卒、東洋経済新報社入社。自動車、電機、商社、不動産などの業界担当記者、19年10月『会社四季報 業界地図』編集長、22年10月より『週刊東洋経済』副編集長

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