ポストコロナ「日本特殊論」との決別が必要な訳

過去に倣いパンデミックは世界の秩序を変える

ペストが近代社会の生みの親となり、スペイン風邪が現代の国際秩序の礎となったことからもわかるとおり、世界史は、パンデミックが社会のあり方や世界の秩序を激変させることを示唆しています。

つまり、現在進行形で起こっている新型コロナのパンデミックは、われわれの社会や世界を今とは別の場所に連れて行ってしまう可能性が高いということです。国際政治学的な視点では、「アフター・コロナ」、あるいは「ポスト・コロナ」の世界を的確に見通して、それに適切に対処できた国が、ポスト・コロナの世界秩序をリードしていくことになると予想しています。しかし、コロナの前と後の変化の質や、その大きさ、そしてこれから変化していく方向を見極めるのは非常に困難だと思われます。

通信技術の支配者がポスト・コロナの世界をリードする

船橋:予測のヒントとなるようなことはありますか。

細谷:いつの時代もそうですが、社会や世界には変化することと、変わらないものがあり、それを見極めることがとても重要になるのだと思います。ポスト・コロナの世界でも、継続し変わらないのは、国際社会が国家を単位として動いていくことと、人々が最後に救済を求められるのは国家しかないということだと思います。国連やWHOは人々に経済援助してくれるわけでも、大量のマスクを配ってくれるわけでもありません。他国の政府からも、一定程度以上の援助を期待するべきではないのでしょう。人々は、結局のところは、自国政府に救済を依存せざるをえない。こうした現実は、人々をナショナリズムの方向へと誘導していく可能性が高いと思われます。

他方で、グローバル化が止まることはないと思います。コロナの影響で、インターネットを利用してのコミュニケーションやビジネスは、国境を越えたかたちも含めて、むしろ加速しています。

つまり、政治における国家主義的な傾向が強まるのと同時に、われわれの生活がより一層、インターネットに依存したスタイルに変わっていくことになろうかと思います。その前提が正しければ、19世紀にイギリスがシー・コミュニケーションを支配して、シー・パワーとして「7つの海」を支配し、「パクス・ブリタニカ」を確立したように、ポスト・コロナの世界では、テレコミュニケーション(通信技術)を支配した国や勢力が、国際秩序の形成に大きな影響を与えることが予測されます。

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