新型コロナウイルスの収束が見えず、4月16日にはついに日本全土に緊急事態宣言が出されました。外出自粛がうたわれ、メディアで「テレワーク」というカタカナを見ない日はありません。
ところが、英国の世論調査会社ユーガブが行った国際調査(日本での調査機関は3月13日~4月13日)によると、「通勤通学を避けている」と答えた人は、日本ではわずか18%、26カ国中最低であることが判明しました。80%の人が「感染を恐れている」と答えているにもかかわらず、なぜ日本では今もなお通勤を続ける人が多いのでしょうか。
「通勤する日本人」が減らない理由
小池百合子東京都知事が記者会見で話しているように新型コロナウイルスの感染を防ぐためには「3密」を防ぐことが大事です。新型コロナウイルスの登場によってできたこの俗語ともいえる「3密」とは、「換気の悪い密閉空間」、「多くの人が集まる密集場所」「近距離で会話や発声をする密接場面」を指しています。
「3密」に当てはまるカラオケや飲み会は自粛が続いており、コンサートやイベントに関しては主催者の多くが中止や延期を発表しています。いうまでもなく、どれも感染の拡がりを懸念しての決断です。
ところがどうしたことか、イベントや飲み会とは違い、「電車に乗っての通勤」はそれほど問題視されていないようです。コロナウイルス禍で多くのことが「叩かれがち」であるなか、電車の中は「3密」に該当するのですから、「社員に有無を言わせず出社をさせている会社の企業名」などがSNSでもっと問題になってもおかしくないはず。ですが、「けしからん」という声はそれほど聞こえてきません。
なぜ電車通勤だけ今も許容されるのか。その理由のひとつに「仕事が大義名分になっていること」が考えられます。上司から「仕事が回らないから出勤してほしい」「テレワークの体制が整うまでしばらく我慢してくれ」などと言われれば、断りたくても断りづらいもの。いくら通勤したくなくても、「仕事だから仕方がない」と後ろ向きな気持ちで電車に乗っている人もいるでしょう。
2つ目の理由として、「仕事とは電車で通勤して会社でするもの」という感覚が今も日本人の中に根強く残っていることが挙げられます。昭和の時代から多くの日本人にとって「仕事をする人」=「電車や車に乗って会社に通勤する人」でした。
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