収束後の「賃金アップ」を企業支援の条件にするべきだ
安倍政権のもとで行われてきた賃上げ政策に、大半の日本企業は賛同してきませんでした。特に、最低賃金でたくさんの労働者を使っている小規模事業者は、最大の抵抗勢力として徹底して反対の声を上げ続けています。要するに、今までの平時の7年間、多くの企業は国が求めたことに応じてこなかったのです。
一方で、今回のコロナ禍のような非常事態が起きると、多くの企業が政府に対して補助金や助成金の拠出を激しく求めてきます。
「有事なんだから、条件なんか付けず、とにかく満遍なく企業にお金を渡して救ってあげるべきだ」と主張する人がいます。しかし、この意見は根本的に間違っていると思います。
今のような有事のときこそ、企業はお金を渇望しているので、政府から出される条件を飲まざるをえません。今こそ、事態が鎮静化した後の生産性向上、そして何よりも労働者の賃金アップを約束させるよう、強いメッセージを発信するべきです。
また、企業に対して「支援金」という実質的な資本注入をするのであれば、かつての大手銀行の公的資本注入と同様に、生産性をどう高めるか、労働者の賃金をどう上げるかという計画を企業に提出させて、金融機関にそれをチェックしてもらう形が大切です。もちろん、健全化計画の提出は事後でかまわないでしょう。
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