スペインも同じように、売上が600万ユーロ以上になると厳しい規制を受けるので、売上規模600万ユーロ未満に企業の固まりができているのが確認できます。600万ユーロという上限は2008年に引き上げられたものですが、上限を引き上げた後、企業は新しい基準の手前まで成長し、そこで成長を止めている様子が見て取れます。
イタリアやポルトガルでも、同じように規制によって「bunching」が起き、問題として認識されています。
中小企業を手厚く優遇する国は生産性が低くなる
中小企業を対象とした優遇策がどれだけ充実しているかと、その国の生産性の関係も徹底的に検証されています。
実は、中小企業に対する優遇策が少ない国ほど、生産性が高いことが確認されているのです。北欧諸国がその代表例です。特にスウェーデンのように、規模の大小関係なくすべての企業に同じ規制を適用することで、中小企業の成長を阻害する要因を作らないようにしている例が有名です。
日本の中小企業の定義は業種によって異なり、たとえば製造業は300人未満、小売業は50人未満です。それぞれの業種で働いている人数を基準に加重平均をとると、日本の中小企業は従業員数「169人未満」です。一方、欧州の「中小企業」の定義は業種関係なく250人未満、アメリカは業種によって500人未満から1500人未満となります。
このように、日本では中小企業をたいへん小さく定義し、必要以上に厚遇してきました。それが裏目に出た結果、日本では規模の小さい企業が増え、中小企業で働く労働者の割合が大きくなって、アメリカやヨーロッパ諸国よりも小さい規模で企業の成長が止まる仕組みとなっています。結果、全体の生産性が低くなってしまったのです。
中小企業を小さく定義してしまったことと、手厚すぎる優遇策に問題の根源があるのだとすれば、これらを改めることによって、企業に規模拡大を促すことが可能です。
日本の生産性が低いのは、産業構造に問題があるからです。要は、中小企業が多すぎるのです。その構造は、実は人口激増時代に50年間かけてできた構造です。
今は人口減少の時代です。現在の産業構造は今の時代には合いません。すぐに変えられるものではありませんが、どこかで変えないといけません。
その舵を切るタイミングは、企業が政府の援助を必要としているため、政府が出す経済政策の条件を飲まざるをえない「今」です。
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