コロナでも「通勤者減らない」日本の残念な事情 80%の人"が感染恐れている"のになぜ?

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コロナ禍の渦中にある今の日本では、テレワークを歓迎する会社がある一方で、あくまでも「仕方なく」テレワークを導入している会社も少なくありません。そもそも日本の会社では社員数の多いところだと「一つの大部屋で大勢の社員が机を並べて仕事するスタイル」が主流です。

これは前述の「みんな同じ現場にいる」ということが重んじられた結果だといえますが、大部屋には「誰かがサボっていないか監視をする役割」もありました。日本の上司はそもそも部下をあまり信用していないのかもしれません。

「仕事だから仕方ない」という発想になりがち

日本では「仕事」という大義名分があるため、電車の中の「密」が見過ごされがちだと先ほど書きましたが、大義名分という意味では「大部屋での仕事」に関しても同じことがいえます。

飲み会などの「遊び」の際にコロナウイルスに感染した人はSNSなどで叩かれがちであるのに対し、3月にNTTドコモのコールセンターで働く社員の感染が発覚した際には、「大部屋で働くスタイル」を叩く投稿はあまり見られませんでした。世間の見方が「仕事なんだから3密になるのは仕方ない」という無意識のバイアスがかかっているといえそうです。

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社会に「3密は避けましょう」という共通認識がありながら、そこに「仕事」が絡むと、割と早い段階で「3密でも仕方ない」という発想になってしまいがちなのは、私も含めて全員が意識しておいたほうがよいかもしれません。

コロナ禍が収束した暁には、「日本の会社に所属しながら南国からテレワークをする」というスタイルが流行らないかしら、なんて外出自粛中の部屋から妄想にふける毎日です。

サンドラ・ヘフェリン コラムニスト

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Sandra Haefelin

ドイツ・ミュンヘン出身。日本歴20年。 日本語とドイツ語の両方が母国語。自身が日独ハーフであることから、「ハーフといじめ問題」「バイリンガル教育について」など、多文化共生をテーマに執筆活動をしている。著書に『ハーフが美人なんて妄想ですから!!』(中公新書ラクレ)、『ニッポン在住ハーフな私の切実で笑える100のモンダイ』(ヒラマツオとの共著/メディアファクトリー)など著書多数。

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