コロナでも「通勤者減らない」日本の残念な事情 80%の人"が感染恐れている"のになぜ?

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実際、新型コロナウイルスが流行る前の日本では、「平日の昼間に家にいるお父さん」が白い目で見られることもしばしばありました。私の知人の日本人男性は家で仕事をしているのですが、郊外の一軒家に引っ越しをしたところ、平日の昼間に外を歩くと、ご近所さんからの目が気になったといいます。

最初はジャージという格好のせいなのかなと思ったそうですが、こぎれいな格好をして出歩いても視線を感じたため、近所の人にあいさつがてら仕事内容について話し、その中で「在宅で仕事をしていること」にも触れるようにしました。

ありがたくない方程式

それ以来、近所の人も気軽に彼に話しかけるようになったと言いますが、逆にいうと、そこまで説明しなければいけないということは、やはり「仕事とは電車で通勤して会社でするもの」という感覚が日本では根強いということでしょう。だいぶ改善されてきてはいるものの、一部地域ではいまだに「電車通勤しない人」=「仕事をしていない人」というありがたくない方程式が残っています。

なぜそんなありがたくない方程式が今も根強いのでしょうか。答えのひとつに、「現場至上主義」的な考え方にあります。日本では体育会系的な考え方をする会社も多く、例えばMBAを持っている人が入社してきても、まずは「現場」を知ることが大事だとし、地方の工場に配属してしまうことがあります。

根底にあるのは「現場を見て体験して、現場で何が起きているのかを把握し、現場の悩みに耳を傾けてこそ、良い仕事ができるのだ」という発想です。また新卒採用・中途採用に限らず、「新人は全員がこの部署からスタート」という独自のルールを設けている会社もあり、これもまた「皆で同じ現場を体験していることが大事」という考え方に基づくものです。

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